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旅の取材記
『プンシュ』と『グリュー』に込められた意味。

「お酒が入っているのがプンシュで、お酒が入っていないのはキンダープンシュ。『プンシュ』には『ミックス』という意味があるのよ」と話す、マリアさん。
「どちらもスキーやクリスマス市に出かけたとき、外で身体を温めるために飲むイメージがあるわ。今日はティーカップにいれたけど、取っ手のないカップで飲む方がプンシュらしいと私は思うの。カップを包むように持つと、プンシュの温かさが肌にも伝わってくるからね」
そこで気になっていた『グリュー』の意味も訊ねてみると、私たちを暖炉の前へと案内するマリアさん。

暖炉へ薪をくべて少しすると、「今よ、これが『グリュー』」と暖炉の中を指差しました。
中をのぞくと火の勢いが落ち着き、穏やかながらも赤々と燃える薪が。『グリュー』とはこの薪のように、赤々と燃えて熱を帯びている様子を形容する言葉なのだそう。その眺めと、じんわり伝わってくるポカポカとしたやさしい暖かさに『グリュー』の意味を体感することができました。

寒い冬を楽しみに変える、スパイスの香りと味わい。

取材をしていて興味深かったのは、まるで日本のお味噌汁のように、プンシュのレシピや定義が家庭ごとに異なっていたこと。
しかし『身体が冷えたときや、家族や仲間が集まったときにみんなで飲む、冬の特別な飲み物』であることは、どの家庭でも共通していました。
もうひとつ印象的だったのが、皆さんそれぞれにプンシュにまつわる思い出を鮮明に覚えていたこと。まるで果汁とスパイスが組み合わさった香りに、プンシュを飲みながら楽しく過ごした、冬の心温まる記憶を呼び覚ます働きがあるようにも感じられました。
風味付けをするだけでなく、香りで心にも働きかけるスパイスの力を感じられた今回の旅。
「楽しい冬の訪れを告げる、心も体も温まる飲み物を私たちも作れないだろうか?」と、新たな刺激を与えてくれるものとなりました。

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