中欧に位置する、ハンガリー共和国。ウラル山脈から移動してきた騎馬民族、マジャール人を先祖にもつアジア系民族の国なので、赤ちゃんの蒙古斑や、苗字と名前の順番、温泉を楽しむ文化など、ヨーロッパでありながら私たち日本人との共通点が多いことに驚きます。リスト、バルトーク、コダーイなどが生まれた音楽の国であり、ヘレンドの陶磁器、カロチャ刺繍も、世界的に有名。フォアグラやワインの名産地としても知られ、中でもトカイワインは、ゲーテの「ファウスト」やシューベルトの歌曲にも登場する銘酒です。私たちが訪れたのは、「ドナウの真珠」ともいわれる、首都ブダペスト。古きよきヨーロッパの町並み。その中心を流れる雄大なドナウ川。すばらしい景観が、私たちを迎えてくれました。
煮こみ料理が多い、ハンガリーの食事。まず驚いたのは、スープの種類の多さです。玉ねぎのスープ、馬肉のスープ、羊のスープなど、肉と野菜をたっぷりいれて作るスープは、どれも具だくさんで、やさしい味がします。中でも特に有名なのが、「グヤーシュ」。グヤーシュとは牛飼いという意味で、もともと大平原で暮らす牛飼いや羊飼いたちが食べる鍋料理だったそうです。スープが赤いのは、パプリカで風味をつけたから。実は、ハンガリー料理に欠かせないのが、このパプリカなのだそうです。甘いものから辛いものまで、種類はなんと100以上。煮こんだり、仕上げにふりかけたり、あらゆる料理に大活躍していました。