アフリカ大陸の北西岸に位置し、対岸のスペインから程近い国、モロッコ。その中央部にある都市、マラケシュを訪れました。降り立った私たちの目をまず奪ったのが、やさしいピンク色のグラデーションに彩られた美しい街並み。この独特な色合いは『マラケシュレッド』と呼ばれ、市内の建物はこの色合いにするよう条例で定められているのだそう。
そして、この街並に鮮やかさをもたらしていたのが、街路沿いに植えられた常緑のビターオレンジの木々。私たちが訪れた3月末はちょうど開花の季節で、小さな白い花々が爽やかな香りを放っていました。
古くから“家の外は男性の世界、家の中は女性の世界”という考えがあるモロッコでは、料理はもちろん、掃除や洗濯なども基本的に女性が行うものとされています。また朝食と昼食、昼食と夕食の間にお茶とおやつの時間を設け、1日5回食事をとる家庭も多いのだそう。食事の用意に、お家のこと…その全部を毎日こなすモロッコのお母さんたちは、実に働き者。
また、驚いたのがモロッコの人々が主食としているホブスという平焼きのパンを、ほとんどのお母さんが手作りしているということ。街には持ち込んだパン生地を焼いてくれるパン焼きの専門店もあり、お母さんたちがこねたパン生地をお店へと運ぶ姿は、モロッコの朝の風景となっているようです。滞在中にお会いしたお母さんの中には、多いときには1日に3回も自宅の釜でパンを焼いているという人もいました。