「森と湖の国」といわれるフィンランド。日本とほぼ同じ面積(約33万平方キロメートル)にもかかわらず、人口は日本の約25分の1(約520万人)。首都・ヘルシンキは、歩いて一周できてしまうほどの小さな町。歩道は広々としていて、高層の建物もむやみやたらになく、町のつくりそのものが余裕すら感じさせる、とてものんびりとした雰囲気。
ヘルシンキの市場をのぞくと新鮮な野菜やキノコだけでなく、何種類ものベリーがいたる所で売られていました。また駅構内にある売店でもベリーが山積みされており、フィンランドの人々にとってベリーは身近なフルーツのひとつであることを感じました。
今回の旅で私たちは、オリベシという町のはずれにある小さな村を訪れました。オリベシは、フィンランドの第二の都市であるタンペレのほど近くに位置する、人口約9,500人の町。ヘルシンキから電車に乗って2時間ほどで行ける場所にもかかわらず、この一帯だけで50近くもの湖があると聞き、どうしてフィンランドが「森と湖の国」と呼ばれるかがよく分かりました。
まず最初に訪れたのは、エイヤ・ホンカネンさんのお宅。庭には何種類ものベリーの木が植えられ、たくさんの実がなっていました。でもエイヤさんが言うには「森になっているベリーは、もっと実がつまっていてジューシー。庭のベリーとは、味が全然違うの」だそう。
フィンランドをはじめとする北欧の国々では『自然享受権』という、誰もが自然を楽しむ権利が守られています。森が個人所有であっても、国有であっても、ルールさえ守れば、誰もが森や湖へ自由に入って自然の中で散歩をしたり、野生のキノコやベリーを摘んだりすることができるのです。
そしてフィンランドの人たちにとってベリーは、待ち望んでいた夏の到来を告げる果物。「ベリーの中でも、最初に摘みにいくのがイチゴ。イチゴが実ると、夏の訪れを感じるわね」と、エイヤさんも話していました。