パリからTGV(新幹線)で南下し、アヴィニョンからクルマでアプトに向かいました。街道沿いに、たわわになっていたチェリー。
プロヴァンスの風物詩のひとつです。プロヴァンスでは、その温暖な気候から、果物や野菜が豊富にとれます。旬の時期にそれらを収穫し、砂糖で
煮つめてコンフィチュール(ジャム)やシロップなどを作り、おいしく保存する習慣が昔から受け継がれています。
アプトの名産として有名なフリュイ・コンフィ(果物をまるごと砂糖漬けにしたもの)も、その習慣から生まれたお菓子。
プロヴァンスでも有数の規模を誇るアプトのマルシェ(毎週土曜日の午前中に開かれる市場)では、フリュイ・コンフィをはじめ、チーズ、ハム、スパイス、雑貨なども売っていて、大いに賑わっていました。
クリスマスには、最後の晩餐にちなんで13種類のデザートを食べる慣わしがあるプロヴァンス。
宝石のように輝くフリュイ・コンフィは、そのひとつとしてイブにも大活躍するお菓子です。
アプトで評判のフリュイ・コンフィの専門店、Saint Denis(サンデニ)。ハストゥースさん一家は、曾おじいさんの時代からフリュイ・コンフィを
作りつづけてきました。素材そのままの美しいカタチを保つことが大切。2日に1度、シロップ漬けしたフルーツを取り出し、シロップを煮つめ、
またフルーツをもどし漬け込む、という作業を、30日間くり返します。砂糖のおかげで、保存料なしで1年もおいしいとは、すばらしい知恵。
「お客さんのリクエストで、ジンジャーも作りはじめたんだよ」。パリで知ったジンジャーの人気ぶりとおいしさを、アプトでも実感しました。