家族でレストランとホテルを兼ねた、オーベルジュを営まれているベルナデットおばあちゃんは、83歳。
7人のお子さんを持ち、この日も息子のベルナルドさん、お嫁さんのマリネットさんに囲まれて、にぎやかに過ごしていました。
教わった料理は、ノルマンディーの家庭で18世紀から作られてきたという、トゥルグル。酪農地帯で重労働をする男たちに、栄養があってお腹にたまるものをと、お母さんが知恵をしぼった料理だそうです。たくさんのミルクに、砂糖、お米、シナモンをまぜ合わせて、オーブンで3~4時間焼き上げます。この地方では、トゥルグルのコンクールもあり、マリネットさんは3位の腕前。
中がとろーりクリーム状で、外の皮をパリパリに仕上げるのがトゥルグル作りのポイント。
最初の火加減でパリパリ感が決まるので、火の通り方をどれだけ上手にコントロールできるかが、腕の見せどころだそうです。
マリネットさんのトゥルグルレシピ
<材料>
ミルク 4L / 米 320g / 砂糖 320g / シナモンスティック 2~3本
<作り方>
シナモンスティックをお湯につけてやわらかくする。
ミルク、米、砂糖を鍋に入れて火にかけ、ミルクが熱くなったらシナモンスティックを入れる。
そのまま沸騰させて、膜ができたら、オーブンに入れ150度で3時間焼くと、できあがり。
ベルナデットさんのオーベルジュで、私たちはランチもいただきました。マランゴという子牛のシチュー、カマンベールチーズの外側をすべてとり、中身だけをミルクと煮てソースを作りクレープにかけていただくガレット・オ・カマンベール、ほくほくのポテト、そしてチーズ。
どれも気取っていない家庭料理で、とってもおいしくいただきました。息子のベルナルドさんは、「自分がここに住んでいることを、とても誇らしく思い、古いものを残す使命を感じている。ノルマンディーの美しい町並みを残していきたい」と話してくれました。若い人たちにも、古き良きものの価値が自然に受け継がれています。新しいものがあふれている日本の生活は、一見豊かに見えるけれど、そうではないのかもしれません。もともとあった日本の美しい文化、建築、食の知恵などを、私たちは改めて考えるべきだと思った旅でした。