前半のうちに2ゴールを奪取
目前に迫る公式戦に向けて、SAMURAI BLUE(日本代表)が頼もしい姿を披露した。2019年9月5日、『キリンチャレンジカップ2019』が茨城県立カシマサッカースタジアム(茨城県)で開催され、日本代表がパラグアイ代表と対戦した。
森保一監督のもとに選手たちが集うのは、6月に3試合を戦った国際大会以来である。ただ、指揮官が制限のないメンバー編成で臨めるのは、6月5日と9日に行われた『キリンチャレンジカップ2019』以来およそ3か月ぶりとなる。
対戦相手のパラグアイ代表とはこれまで9度対戦し、3勝4分2敗の成績が残っている(PK戦による勝敗の決着は、引分けに含む)。直近では18年6月にオーストリアで顔を合わせ、日本代表が4対2で勝利した。
パラグアイは伝統とする堅守に加えて、鋭いカウンターアタックを特徴とする。日本代表も参加した今年6月の国際大会では、準々決勝で開催国ブラジルと際どい勝負を演じた。
日本代表の森保監督は、これまでチームのベースとしてきた4-2-3-1のシステムを選んだ。
GKは権田修一(ポルティモネンセ/ポルトガル)で、最終ラインには右から酒井宏樹(オリンピック・マルセイユ/フランス)、冨安健洋(ボローニャFC/イタリア)、吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)、長友佑都(ガラタサライSK/トルコ)が並ぶ。キャプテンマークを巻く吉田は、2月以来の出場だ。
中盤では柴崎岳(デポルティボ・ラ・コルーニャ/スペイン)と橋本拳人(FC東京)がダブルボランチを組む。2列目は右から堂安律(PSVアイントホーフェン/オランダ)、南野拓実(ザルツブルク/オーストリア)、中島翔哉(FCポルト/ポルトガル)の3人で構成され、1トップには大迫勇也(ヴェルダー・ブレーメン/ドイツ)が指名された。2列目の3人と大迫が先発で同時出場するのは、昨年11月の『キリンチャレンジカップ2018』以来である。
チームの活動は、9月2日にスタートしたばかりだ。チームとして機能するまでに時間がかかることも予想されたが、10分に南野がファーストシュートを浴びせ、背番号9は15分にも際どい一撃を放つ。17分には攻撃陣のスムーズなコンビネーションから、大迫が決定機を迎えた。
23分には先制点が生まれる。橋本のパスを中島がワンタッチでさばき、フォローした堂安がすぐに左サイドへ展開する。オーバーラップした長友がグラウンダーのクロスを供給すると、大迫が左足のワンタッチシュートで合わせる。長友のクロスはDFに当たって微妙にコースが変わっていたものの、大迫はしっかりとネットを揺らした。
直後の25分には、堂安がGKと1対1になる。これは相手GKの鋭い出足に阻まれるものの、30分に追加点が生まれる。
左サイドから中央へボールを持ち出した中島が、右サイドへ展開する。攻め上がった酒井がゴール前へワンタッチでクロスを供給すると、ファーサイドで南野がプッシュした。
2対0とリードを広げた日本代表だが、36分にピンチを迎える。左サイドからスルスルと抜け出した相手選手に、至近距離から強烈なシュートを浴びた。
ここで、GK権田が大きな仕事をする。右手1本でしっかりとセーブした。直後のCKからもクリアボールを拾われてミドルシュートを受けるが、権田は確実に弾き出す。
攻守にスキのない戦いを見せた日本代表は、2対0でハーフタイムを迎えた。
交代選手を起用しつつ攻勢を緩めない
後半開始とともに、森保監督は選手交代をする。
酒井に代わって植田直通(セルクル・ブルージュKSV/ベルギー)が出場し、最終ラインは右から富安、植田、吉田、長友の並びになる。さらに堂安と久保建英(RCDマジョルカ/スペイン)、中島と原口元気(ハノーファー96/ドイツ)が交代し、2列目が右から久保、南野、原口となった。
後半開始のシュートは50分に記録された。久保へのファウルで得た直接FKを、背番号17を着ける18歳が自ら左足で狙う。58分には原口が左サイドを突き、ゴール前へ詰めた久保にラストパスがわたる。久保は左足でコースを狙ったが、相手DFにブロックされた。
67分、森保監督が選手交代に動く。大迫に代わって永井謙佑(FC東京)が、長友が退いて安西幸輝(ポルティモネンセ/ポルトガル)が、それぞれ出場する。ポジションは同じだ。
2人が出場した直後の69分、日本代表がビッグチャンスをつかむ。柴崎のスルーパスに反応した久保が、右サイドから抜け出す。角度のないところから放たれた左足シュートが、バーを直撃した。
76分には6人目の交代選手が送り出される。柴崎に代わって板倉滉(FCフローニンゲン/オランダ)がピッチに立つ。板倉は日本国内での国際Aマッチ初出場だ。
ゲームが終盤に突入しても、日本代表は攻撃に意欲的だ。1トップに入った永井は果敢にDFラインの背後を狙い、右サイドバックへポジションを代えた冨安が効果的に攻め上がる。左サイドバックの安西も、タイミングを見計らって前線へ出ていく。センターバックのコンビを組む植田と吉田も、守備のリスク管理をしながら攻撃のビルドアップに関わる。ボランチの板倉もボールの中継点となり、攻撃にリズムを生み出していった。
90+4分、左サイドからのクロスを権田がキャッチすると、試合終了のホイッスルが鳴り響いた。合計19本のシュートを放ち、パラグアイ代表には5本のシュートしか許さずに、日本代表は2対0の勝利をつかんだのだった。
試合後の森保監督は、「選手たちが限られた(準備の)時間のなかでコンディションを上げて、試合の進め方、チームの戦い方のイメージを共有してくれた。試合の入りから集中して先制点を奪い、無失点で締めるのは簡単ではないと思います」と振り返った。
そのうえで、「勝利は素晴らしいが試合を決める3点目を奪うチャンスはあり、選手が入れ替わるなかでももっと安定したゲームができたのでは。そこはさらに上を目ざしてやっていければ」と今後への課題をあげた。5日後にアウェイで公式戦を控える日本代表にとって、今年5度目の『キリンチャレンジカップ2019』は価値ある助走となったのだった。
※事実関係の表記は現地で配られたパンフレット、JFA様のホームページに準じています。
試合データ
■9月5日 茨城県立カシマサッカースタジアム
日本代表 [2-0] パラグアイ代表
<代表監督> 森保 一
<出場選手>
■9月5日/茨城県立カシマサッカースタジアム
日本代表 (2) 2 | <大迫 勇也 南野 拓実> | |
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パラグアイ代表 (0) 0 | ||
日本 | ||
GK | 権田 | |
DF | 長友(安西) 吉田 酒井(植田) 冨安 | |
MF | 柴崎(板倉) 橋本 中島(原口) 南野 堂安(久保) | |
FW | 大迫(永井) | |
パラグアイ | ||
GK | ロベルト・フェルナンデス | |
DF | フアン・エスコバル(ブラス・リベロス) ファビアン・バルブエナ (Cap.) グスタボ・ゴメス(ロベルト・ロハス) ブライアン・サムディオ イバン・ピリス | |
MF | フアン・ロハス(クリスティアン・パレデス) リチャルド・サンチェス(ラモン・マルティネス) | |
FW | ミゲル・アルミロン デルリス・ゴンサレス(オスカル・ロメロ) アルナルド・サナブリア(アンヘル・ロメロ) |
*月日/場所
国名(前半得点)総得点<得点者>
*メンバー(交代メンバー)
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