2試合連続で3バックにトライ
6月2試合目となる『キリンチャレンジカップ2019』が、9日にひとめぼれスタジアム宮城(宮城県)で開催された。北中米カリブ海地区のエルサルバドル代表とは、今回が初めての対戦となる。
SAMURAI BLUE(日本代表)の森保一監督は、5日のトリニダード・トバゴ代表戦と同じく3-4-3の布陣を組んだ。
GKはシュミット・ダニエル(ベガルタ仙台)で、3バックには右から冨安健洋(シントトロイデンVV/ベルギー)、昌子源(トゥールーズFC/フランス)、畠中慎之輔(横浜F・マリノス)が並ぶ。ここまでは前回のゲームと同じだ。
ダブルボランチは橋本拳人(FC東京)と小林祐希(SCヘーレンフェーン/オランダ)が組む。ともに3月26日の『キリンチャレンジカップ』以来の先発だ。右ウイングバックは伊東純也(KRCゲンク/ベルギー)で、左ウイングバックには原口元気(ハノーファー96/ドイツ)が入る。こちらのふたりは、今冬の国際大会以来のスタメンである。
2シャドーは右に堂安律(FCフローニンゲン/オランダ)、左に南野拓実(ザルツブルク/オーストリア)である。1トップは永井謙佑(FC東京)だ。永井は15年8月以来の国際Aマッチ出場を迎えた。
日本代表が宮城県で国際試合を戦うのは、13年8月以来となる。試合前から熱心なファン・サポーターが声援を送っていたが、開始5分にスタンドの熱気が一気に高まる。敵陣右サイドでパスカットした伊東が、ペナルティエリア内までボールを運ぶ。マイナスのクロスを原口が右足で合わせたが、際どくバーを越えていった。
その後も3バックやダブルボランチがタテパスを通していくが、シュートには結びつかない。それでも19分、右センターバックの冨安のタテパスを受けた永井が、ペナルティエリア右でDFふたりを交わす。切り返しとともに左足へ持ち直し、至近距離からGKの逆を突くシュートを突き刺した。永井は7試合目の出場で、待望の代表初得点を記録した。
35分にはコンビネーションで相手守備陣を崩す。橋本のタテパスを南野がワンタッチで永井へつなぐと、ゴール正面から左足シュートを浴びせる。しかしこれは、相手GKに阻まれた。直後の37分には、小林のクロスから南野がヘディングで狙う。
追加点は41分に生まれた。敵陣へ持ち上がった畠中の斜めのパスを、左サイドの原口がゴールラインぎりぎりで中央へ折り返す。走り込んだ永井の左足ワンタッチシュートが、左ポストを叩いてゴールへ吸い込まれていった。
エルサルバドル代表は前線からもプレスをかけてきたが、日本代表は3バックにGKシュミット・ダニエルが加わってボールを動かし、後方からの組み立てを成立させていく。相手ゴールへ迫るには至らなかったシーンでも、意図のあるボールまわしが実現されていた。
久保建英が歴代2位の最年少出場記録を達成
2対0とリードした日本代表は、後半も開始直後から相手ゴールに迫る。49分、伊東の直接FKを昌子が頭で合わせる。50分には堂安のパスから南野が鋭い右足ボレーを放った。
59分、日本代表をアクシデントが襲う。永井が接触プレーで肩を痛め、大迫勇也(ヴェルダー・ブレーメン/ドイツ)が出場する。同じタイミングで伊東が退き、室屋成(FC東京)が右ウイングバックに入る。さらに畠中が下がって山中亮輔(浦和レッズ)もピッチに立つ。ここで森保監督は、システムを4-2-3-1へ変更する。最終ラインは右から室屋、冨安、昌子、山中で構成され、ダブルボランチは小林と橋本のコンビを保つ。2列は右から堂安、南野、原口となった。森保監督は67分にも動く。久保建英(FC東京)が南野に、中島翔哉(アルドゥハイル/カタール)が原口に代わって出場する。史上2番目の若さとなる18歳5日で日本代表デビューを飾った久保は、73分に見せ場を作る。大迫からパスを受けて右サイドから仕掛け、2人のマークを剥がしてペナルティエリア右からフィニッシュへ結びつけた。得意の左足から繰り出されたシュートは、惜しくもGKの正面を突いた。76分にも相手ゴールを脅かす。大迫がペナルティエリア右で小林から対角線のパスを受け、胸トラップから左足を振り抜く。GKに当たりながらもゴールへ転がっていくボールは、相手選手にギリギリでかき出された。
80分にはこの日6人目の選手交代が行われる。小林がベンチへ下がり、柴崎岳(ヘタフェCF/スペイン)が登場する。ポジションは同じボランチだ。
キックオフ時の3-4-3から、システムは4-2-3-1に変更されている。選手も入れ替わっている。チームとしての機能性を保つのは簡単でないはずだが、日本代表は規律を保つのだ。森保監督が選手たちに求めているサッカーの原理原則が、どちらのシステムでも徹底されているからなのだろう。日本代表は後半アディショナルタイムにも、観衆の興奮を誘う。中島と久保のパス交換に大迫も絡んで中央を突破し、中島が相手DFに倒されて直接FKを獲得する。ペナルティアーク手前から中島が狙ったが、ゴール左に逸れていった。後半は得点こそ奪えなかったが、最後まで攻撃的な姿勢を貫いた。肌寒い気候のなかで繰り広げられた熱戦に、38092人の観衆から惜しみない拍手がおくられた。「これまでやらなかった3バックにチャレンジして、1戦目(5日のトリニダード・トバゴ代表戦)よりもさらによい形で勝利をつかみ取ろうと臨みました。難しいトライだったと思いますが、選手たちが前向きに粘り強くチャレンジしてくれて結果につながってよかったです」
試合後の森保監督はこう語り、チームのパフォーマンスを評価した。愛知県と宮城戦を舞台とした今回の『キリンチャレンジカップ2019』の2連戦は、9月にスタートする公式戦に向けて価値ある助走となっただろう。
※事実関係の表記は現地で配られたパンフレット、JFA様のホームページに準じています。
試合データ
■6月9日 ひとめぼれスタジアム宮城
日本代表 [2-0] エルサルバドル代表
<代表監督> 森保 一
<出場選手>
■6月9日/ひとめぼれスタジアム宮城
日本代表 (2) 2 | <永井 謙佑> | |
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エルサルバドル代表 (0) 0 | ||
日本 | ||
GK | シュミット・ダニエル | |
DF | 昌子 畠中(山中) 冨安 | |
MF | 原口(中島) 小林(柴崎) 伊東(室屋) 橋本 南野(久保) 堂安 | |
FW | 永井(大迫) | |
エルサルバドル | ||
GK | ヘンリー・エルナンデス (Cap.) | |
DF | ブライアン・タマカス(モイセス・ガルシア) ロベルト・ドミンゲス イバン・マンシア ホナタン・ヒメネス | |
MF | ダルウィン・セレン ハイメ・アラス(フアン・カルロス・ポルティージョ) マルビン・モンテロサ(アンドレス・フロレス) ナルシソ・オレジャナ(ヘルソン・マジェン) オスカル・セレン(サントス・オルティス) | |
FW | ネルソン・ボニージャ(ダビド・ルガマス) |
*月日/場所
国名(前半得点)総得点<得点者>
*メンバー(交代メンバー)
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