森保体制初の3バックが採用された!
令和最初の『キリンチャレンジカップ2019』が、6月5日に豊田スタジアム(愛知県)で開催された。対戦相手のトリニダード・トバゴ代表とは、06年8月の『キリンチャレンジカップ2006』で初めて顔を合わせ、SAMURAI BLUE(日本代表)が2対0で勝利を収めている。
およそ13年ぶりとなるトリニダード・トバゴ代表との一戦で、森保一監督は新たな試みに乗り出す。昨年9月の就任から採用してきた4-2-3-1のシステムではなく、3-4-3を用いたのである。
GKはシュミット・ダニエル(ベガルタ仙台)で、3バックには右から冨安健洋(シントトロイデンVV/ベルギー)、昌子源(トゥールーズFC/フランス)、畠中慎之輔(横浜F・マリノス)が並ぶ。ダブルボランチは柴崎岳(ヘタフェCF/スペイン)と守田英正(川崎フロンターレ)が組み、右ウイングバックに酒井宏樹(オリンピック・マルセイユ/フランス)、左ウイングバックに長友佑都(ガラタサライSK/トルコ)が入る。
2シャドーは右に堂安律(FCフローニンゲン/オランダ)、左に中島翔哉(アルドゥハイルSC/カタール)である。1トップは大迫勇也(ヴェルダー・ブレーメン/ドイツ)だ。
38507人の観衆が、最初に沸いたのは7分だった。左サイドの中島のクロスを、ゴール前へ走り込んだ堂安がヘディングで合わせる。日本代表が活動するのは3月の『キリンチャレンジカップ2019』以来だが、これまで培ってきたコンビネーションがすぐに発揮された。
24分、決定的なシーンを作る。右サイドを突破した酒井が、グラウンダーのクロスを供給する。同サイドに走り込んだ大迫が右足で合わせたが、惜しくもGKに阻まれた。4分後には柴崎の浮き球のパスに堂安が反応し、DFラインの背後をフリーで抜け出す。しかし、飛び出したGKにシュートコースを消され、得点には至らない。
42分には自らのドリブル突破で得た直接FKを、中島が右足で狙う。カベを越えた一撃はバーを直撃した。中島は45+1分にもペナルティエリア左から左足を振り抜くが、これはゴール右へ逸れていった。
前半のボール支配率は日本代表の64パーセントに対して、トリニダード・トバゴ代表が36パーセントだった。シュート数も日本代表が11本を記録したのに対して、トリニダード・トバゴ代表はわずかに1本である。攻撃陣が積極的にシュートを放っていった要因として、攻めから守りへの切り替えでダブルボランチの柴崎と守田、さらには冨安、昌子、畠中の3バックがアグレッシブなディフェンスを心がけていたこともあげられる。38分に畠中が敵陣でインタセプトとした場面では、同サイドの長友が大きな拍手をしていた。細かな部分を突き詰めることも、このチームが継続的に取り組んでいるテーマだ。そして、後半の日本は攻勢をさらに強めていく。
ラスト10分の猛攻は迫力十分!
後半最初のチャンスは、日本代表ではなくトリニダード・トバゴ代表だった。55分、左サイドを相手選手に突破されるが、GKシュミット・ダニエルが確実に弾き出す。フィジカルコンタクトを激しく挑んでくる相手攻撃陣に対して、日本代表の3バックはクリーンかつハードな守備で対応していく。
61分、森保監督がこの試合最初の交代カードを切る。守田が下がって小林祐希(SCヘーレンフェーン/オランダ)が出場する。62分にも酒井宏樹が退き、室屋成(FC東京)が送り込まれる。65分、日本代表が相手ゴールへ鋭く迫る。中島とのワンツーで左サイドを突破した長友が、ライナー性のクロスを供給する。大迫の走り込みとタイミングは合っていたものの、DFにクリアされた。71分、森保監督が交代選手を2人同時に投入する。中島から南野拓実(ザルツブルク/オーストリア)、堂安から伊東純也(KRCヘンク/ベルギー)へのスイッチだ。さらに79分、長友が退いて原口元気(ハノーファー96/ドイツ)が登場する。トリニダード・トバゴ代表が長距離移動の疲労で足が止まってきたこともあり、日本代表のワンサイドゲームとなっていく。ラスト10分はビッグチャンスの連続だった。85分、中盤でパスカットに成功した柴崎が、大迫に一度ボールを預けて前線へ飛び出す。大迫からのリターンパスを受け、ペナルティエリア内からフリーでシュートを放つ。この一撃は相手GKに阻止されるが、セカンドボールに南野が反応する。至近距離からの右足シュートはDFのブロックにあいながらもゴールへ転がっていくが、相手GKがギリギリでかき出す。直後の左CKでは、昌子が空中戦を制してヘディングシュートを浴びせる。これも相手GKに阻まれた。4分間のアディショナルタイムに突入した90+2分には、大迫の仕掛けが相手守備陣の混乱を誘い、ペナルティエリア内右の伊東が右足ボレーを放つ。近距離からシュートだったが、これまたGKの美技に阻止された。途中出場の室屋は右サイドから、原口は左サイドから積極的に仕掛け、相手守備陣にストレスをかけていた。守田に代わってボランチに入った小林は、高精度の左足を生かしてセットプレーのキッカーを任された。スタメンの選手も途中出場の選手も最後までハードワークし、トータルで25本ものシュートを放った。しかし、得点を奪うことはできなかった。「我々がこれまでやってきた形ではないシステムで、選手たちは難しい部分が多々あったと思いますが、攻守に自分たちで確認しながら、よくチャレンジしてくれました」
試合後の森保監督は、ファン・サポーターに勝利を届けられなかったことへの責任を口にしつつも、選手たちのパフォーマンスに一定の評価を下した。短い準備期間で新システムの精度を高めていったことは、客観的に見ても評価されるべきだろう。指揮官はさらに、「今日勝てなかったぶん、中3日での宮城での試合では、しっかり勝てるように準備していきたい」と言葉に力を込めた。9月の公式戦に向けて大切な意味を持つ今回の『キリンチャレンジカップ2019』の第2戦は、舞台を宮城県に移して6月9日に行われる。
※事実関係の表記は現地で配られたパンフレット、JFA様のホームページに準じています。
試合データ
■6月5日 豊田スタジアム
日本代表 [0-0] トリニダード・トバゴ代表
<代表監督> 森保 一
<出場選手>
■6月5日/豊田スタジアム
日本代表 (0) 0 | ||
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トリニダード・トバゴ代表 (0) 0 | ||
日本 | ||
GK | シュミット・ダニエル | |
DF | 長友(原口) 酒井(室屋) 昌子 畠中 冨安 | |
MF | 柴崎 中島(南野) 守田(小林) 堂安(伊東) | |
FW | 大迫 | |
トリニダード・トバゴ | ||
GK | マービン・フィリップ | |
DF | ダニール・サイラス アルビン・ジョーンズ(アキーム・ハンフリー) カーライル・ミッチェル(カーティス・ゴンサレス) メキール・ウィリアムズ | |
MF | ケバン・ジョージ カリーム・ハイランド (Cap.)(ネビール・ハックショー) ネイサン・ルイス(カール・ムケット) レストン・ポール ジョマル・ウィリアムズ(ジュダ・ガルシア) | |
FW | レビ・ガルシア(レスター・ペルチャー) |
*月日/場所
国名(前半得点)総得点<得点者>
*メンバー(交代メンバー)
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