西野朗監督の初陣で強豪ガーナと激突!
6月に国際大会の出場を控えるSAMURAI BLUE(日本代表)が、5月30日に『キリンチャレンジカップ2018』に臨んだ。対戦相手はアフリカの強豪ガーナで、2006年10月と2013年9月にも『キリンチャレンジカップ』で激突している。
4月から日本代表を率いる西野朗監督は、試合前の合宿から新たなシステムとして3バックに取り組んできた。果たしてこのガーナ戦でも、3-4-2-1でスタートする。
GKは川島永嗣(FCメス/フランス)で、3バックは右から吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)、長谷部誠(アイントラハト・フランクフルト/ドイツ)、槙野智章(浦和レッズ)で構成される。ダブルボランチは大島僚太(川崎フロンターレ)と山口蛍(セレッソ大阪)が組み、右アウトサイドに原口元気(フォルトゥナ・デュッセルドルフ/ドイツ)、左アウトサイドに長友佑都(ガラタサライSK/トルコ)が入る。1・5列目にポジションを取る2シャドーは右が本田圭佑(CFパチューカ/メキシコ)、左が宇佐美貴史フォルトゥナ・デュッセルドルフ/ドイツ)で、1トップは大迫勇也(ベルダー・ブレーメン/ドイツ)だ。
試合前からピッチを雨が打ちつけるなかで、最初にチャンスをつかんだのは日本である。4分、宇佐美のヒールパスから長友が左サイドを破り、ゴール前へクロスを入れる。これを大迫が左足ボレーでフィニッシュにつなげたが、シュートはGKの正面を突いた。
スコアが動いたのは8分だった。ペナルティエリア正面すぐ外の直接FKが、壁の間をすり抜けて日本のゴールへ吸い込まれていった。
ビハインドを背負った日本は、すぐに反撃に転じる。槙野や吉田のサイドチェンジをきっかけに、あるいは山口や大島のタテパスをスイッチとして、ピッチを幅広く使った攻撃でガーナのゴールに迫っていく。27分には大島のスルーパスから原口が右サイドを突き、切り返しからのクロスを大迫が頭で合わせた。29分には宇佐美が左サイドからカットインし、右足のコントロールショットでゴールを襲う。また、33分には本田が直接FKからゴールを襲うが、相手GKの好守に阻まれた。相手のシュートを2本に抑えつつ、6本のシュートを記録した前半は、0対1のまま終了した。
多彩な攻撃が可能性を感じさせた!
後半開始とともに、西野監督が動く。宇佐美に代わって香川真司(ボルシア・ドルトムント/ドイツ)が、大迫が退いて武藤嘉紀(1.FSVマインツ05/ドイツ)が、原口が下がって酒井高徳(ハンブルガーSV/ドイツ)が、それぞれ投入される。
選手交代の効果はすぐに表れる。山口のクロスから武藤がヘディングシュートを浴びせ、酒井(高)のクロスから香川がシュートへ持ち込む。
ところが、この試合ふたつ目のゴールも日本ではないのだ。51分、DFラインの背後を狙ったパスに川島が反応するが、相手選手と交錯してPKを与えることに。これを決められて、0対2と点差を広げられてしまった。
64,520人の大観衆の声援を受ける日本は、ビハインドをはね除けるべく攻撃のギアをさらに上げていく。59分には再び西野監督が動く。本田から岡崎慎司(レスター・シティ/イングランド)、山口から柴崎岳(ヘタフェCF/スペイン)への交代だ。これに伴い、前線が2トップに変更される。香川の立ち位置もトップ下に近く、3-4-1-2とも読み取れるシステムだ。
柴崎はすぐに鋭いミドルシュートを放ち、岡崎も得意の勇敢なプレーでクロスへ飛び込む。65分には大島の右足ミドルが相手GKを慌てさせた。前半同様にピッチを幅広く使った攻撃を仕掛けつつ、中央からの崩しも織り交ぜていくことで、ゴールの歓喜が近づいていることを予感させる。
76分にはこの試合最後の選手交代が行われる。長谷部に代わって井手口陽介(クルトゥラル・レオネサ/スペイン)が送り出され、システムが4-2-2-2に変更される。右から酒井(高)、吉田、槙野、長友でDFラインが構成され、井手口と大島がダブルボランチを組む。2列目は右に柴崎、左に香川で、2トップは武藤と岡崎だ。前線についてはポジションの規制はなく、流動性に富んだポジションを取りながら連動性を発揮していった。
後半最大の決定機は80分のシーンだっただろう。右サイドの柴崎がグラウンダーのパスをゴール前へ送ると、武藤のショートパスはDFに当たって彼自身の足元へボールが戻ってくる。背番号13は迷わずに左足を振り抜いたが、強烈な一撃は惜しくもゴール左へ逸れていった。
後半もガーナを上回る8本のシュートを浴びせた日本だが、惜しくもゴールを奪うことはできず。0対2のまま試合終了のホイッスルを聞くことになった。
試合後の西野監督は「勝って世界大会へと思っていたので、結果が出ずに本当に残念です」と悔しさをにじませた。ファン・サポーターに勝利を届けたかった気持ちは、西野監督だけでなく選手にも共通するものだっただろう。
とはいえ、ふたつの失点はセットプレーをきっかけとしたもので、オープンプレーからはゴールを許していない。初めてのトライだった3バックも、キャプテンでリベロを務めた長谷部を中心にオーガナイズされていた。世界大会へ向けたメンバーの絞り込みのために6人の選手を交代し、3つのシステムを使い分けたことにも触れておくべきだろう。求めていた勝利をつかむことはできなかったが、成果と課題を手にすることができたのは間違いない。
試合終了直後の壮行セレモニーでは、選手を代表して長谷部キャプテンがマイクの前に立った。「素晴らしい皆様のサポート、期待を胸に(世界大会で)戦ってきます」とあいさつをすると、すぐに大きな拍手が沸き上がる。ガーナと白熱の攻防を繰り広げた『キリンチャレンジカップ2018』を経て、SAMURAI BLUEは新たな歴史を切り開いていく。
試合データ
■5月30日 日産スタジアム
日本代表 [0-2] ガーナ代表
<代表監督> 西野 朗
<出場選手>
■5月30日/日産スタジアム
日本代表 (0) 0 | ||
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ガーナ代表 (1) 2 | <トーマス・パーティー エマニュエル・ボアテング> | |
日本 | ||
GK | 川島 | |
DF | 長友 槙野 酒井 植田 | |
MF | 長谷部(井手口) 本田(岡崎) 山口(柴崎) 原口(酒井) 大島 | |
FW | 大迫(武藤) | |
ガーナ | ||
GK | リチャード・オフォリ | |
DF | ジェセフラーウェー・アッタマー ニコラス・オポク ルモー・アグベニェヌ ラシド・スマイラ(エドウィン・ジャシ) アンドルー・キエレイアドム | |
MF | アイザック・サッキー(カッシムアダムス・ヌフ) エマニュエル・ボアテング(クワシ・オキエレ) トーマス・パーティー | |
FW | フランク・アチェアンポング(ラファエル・ドワミナ) ナナオポク・アンポマー |
*月日/場所
国名(前半得点)総得点<得点者>
*メンバー(交代メンバー)
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