試合詳細レポート

2018

試合結果 KIRIN CHALLENGE CUP 2018 ベルギー/スタッド・モーリス・デュフラン 2018年3月27日 日本代表 対 ウクライナ代表 1:2

試合結果 KIRIN CHALLENGE CUP 2018 ベルギー/スタッド・モーリス・デュフラン 2018年3月27日 日本代表 対 ウクライナ代表 1:2

来る国際大会へ向け、史上初の海外開催!

海外では初めての開催となる『キリンチャレンジカップ2018 in EUROPE』が、3月27日にベルギー/リエージュのスタッド・モーリス・デュフランで開催された。
キリングループは1978年より日本代表の応援をスタートさせ、今年で40周年を迎えた。日本全国で行われてきた国際試合はチームの強化はもちろん、サッカーの普及と振興を促してきた。今年は新たな応援コンセプトとして「We‘re in the same boat.(私たちは、同じ船に乗っている)」を掲げ、3月からデジタル施策やリアル応援イベントなどを通じて、ファン・サポーターが一体となってSAMURAI BLUE(日本代表)を応援する機会を提供している。
現地リエージュは試合前から雨模様で、平日のデーゲームにもかかわらず、日本人のファン・サポーターが多数駆けつけた。ウクライナに声援を送る観衆も見られた。また、記者席にはウクライナのメディアも多く、この試合への関心の高さをうかがわせた。
リエージュを拠点とした欧州遠征の仕上げとなる一戦で、日本はチームの基盤となる4-3-3の布陣でウクライナに挑んだ。
GKは川島永嗣(FCメス/フランス)で、DFラインは右から酒井高徳(ハンブルガーSV/ドイツ)、植田直通(鹿島アントラーズ)、槙野智章(浦和レッズ)、長友佑都(ガラタサライ/トルコ)の4人が構成する。
中盤では長谷部誠(アイントラハト・フランクフルト/ドイツ)と山口蛍(セレッソ大阪)がダブルボランチを組み、柴崎岳(ヘタフェCF/スペイン)がトップ下に入る。3トップは右から本田圭佑(CFパチューカ/メキシコ)、杉本健勇(セレッソ大阪)、原口元気(フォルトゥナ・デュッセルドルフ/ドイツ)だ。
 日本は立ち上がりから高い位置でプレッシャーを仕掛け、相手のボールを奪い取ろうとする。同時に、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督(※参照)が強調するタテに速いサッカーが表現されていく。
14分には槙野のロングパスが右サイドへ流れた柴崎へつながり、柴崎がゴール前へワンタッチでラストパスを通した。このシーンはシュートへ結びつかなかったものの、攻撃のイメージが共有されていることをうかがわせた。
とはいえ、ウクライナは強豪だ。6月開幕の国際大会には出場できないものの、FIFA(国際サッカー連盟)のランキングでは日本を上回る。じわじわと攻め込まれていくなかで、21分に先制点を喫してしまった。相手のシュートがDFに当たってコースが変わる不運な一撃で、GK川島もボールを見送るしかなかった。
相手の圧力を受けながらも、日本は攻める姿勢を見せていく。37分、山口が中盤から右サイドへ大きく展開すると、右サイドで選手が連動する。パスを受けた本田がDFの頭越しにボールを送ると、ここへ右サイドバックの酒井が走り込んでいた。あと一歩でシュートへつながる際どいシーンだった。
次第に雨脚が強くなるなかで、スタンドが沸いたのは41分だ。原口の仕掛けで得た左サイドのFKを、柴崎がゴール前へ供給する。GKとDFラインの間を狙った絶妙な軌道のボールを、槙野がヘディングで合わせる。前半のうちに同点へ追いつく貴重なゴールが生まれた。

終盤に猛攻を仕掛けたが、惜しくも……

ウクライナを迎えた今回の『キリンチャレンジカップ2018in EUROPE』は、6月の国際大会で対戦するポーランドを想定したものである。さらに加えて、メンバーを絞り込む判断材料を得る機会でもある。ハリルホジッチ監督は戦況を睨みつつ、選手を交代していく。56分、杉本に代えて小林悠(川崎フロンターレ)が投入され、64分には本田が退いて久保裕也(KAAヘント/ベルギー)が送り出される。
 どちらが主導権を握っているわけでもない試合は、69分に動きを見せる。ドイツ・ブンデスリーガのFCシャルケ04に所属するイェヴヘン・コノプリュヤンカに右サイドを破られ、ゴール前でフリーになった選手にゴールを割られてしまうのだ。  その後も際どい場面を作られるが、最終ラインの酒井、槙野、植田、長友はもちろん、ボランチの長谷部と山口に加えて原口と久保の両ウイングも帰陣し、ウクライナに3点目を許さない。
追いかける展開となった日本は、79分に柴崎がベンチへ下がり、4日前のマリ戦で得点をあげた中島翔哉(ポルティモネンセ/ポルトガル)がピッチに立つ。さらに81分、長谷部が退いて三竿健斗(鹿島アントラーズ)が山口とボランチのコンビを組む。
ゲームの最終盤は、日本が立て続けに好機を作り出した。86分、長友のクロスから小林と中島が連続してシュートに持ち込む。87分には原口と宇佐美貴史(フォルトゥナ・デュッセルドルフ/ドイツ)の交代があり、前線がさらに活性化される。
後半アディショナルタイムには中島のクロスに久保が反応して相手GKを脅かす。さらに中島が直接FKから鋭くゴールを襲った直後、終了のホイッスルが鳴り響いた。
 試合後のハリルホジッチ監督は、1対1で引き分けたマリ戦を引き合いに出し、「前の試合よりも良かった。悪くないものもたくさん見られた」とチームのパフォーマンスを評価した。さらに「喜ぶべきところもあるが、まだ十分ではない。そこはしっかり認識している」と続けた。
キャプテンの長谷部も指揮官に同調する。
「ウクライナは自分たちより個も組織も強く、すべてにおいてレベルの高いチームでした。負けて良いことはないですが、この負けがあったからと思えるように持っていきたい」と前を向いた。
ヨーロッパで対戦するからこそ感じ取れる相手の強さ、戦ううえでの難しさが、今回の『キリンチャレンジカップ2018in EUROPE』にはあったはずだ。この貴重な機会を糧にして、日本はさらに前進していく。

※事実関係の表記は現地で配られたパンフレット、JFA様のホームページに準じています。

試合データ

■3月27日 スタッド・モーリス・デュフラン
日本代表 [1-2] ウクライナ代表

日本代表選手集合写真
  • 日本代表選手集合写真

写真提供/©JFA 2018年3月27日キリンチャレンジカップ2018 in EUROPE対ウクライナ戦 先発メンバー

<代表監督> ヴァイッド・ハリルホジッチ

<出場選手>

■3月27日/スタッド・モーリス・デュフラン
 
日本代表 (1) 1 <槙野 智章>
ウクライナ代表 (1) 2 <オウンゴール オレクサンドル・カラファエフ>
日本    
GK 川島
DF 長友 槙野 酒井 植田
MF 柴崎(中島) 山口 長谷部(三竿)
FW 本田(久保) 原口(宇佐美) 杉本(小林)
ウクライナ    
GK アンドリー・ピヤトフ
DF ボフダン・ブトコ(オレクサンドル・カラファエフ) エドゥアルド・ソーボル(ミコラ・マトヴィイェンコ) イヴァン・オルデツ ヤロスラフ・ラキツキー
MF タラス・ステパネンコ ルスラン・マリノフスキー(ヴィタリー・ブヤルスキー) イェヴヘン・コノプリャンカ(ヴィクトル・ツィハンコフ) マルロス・ロメロ・ボンフィム(イヴァン・ペトリャク) オレクサンドル・ジンチェンコ(ルスラン・ロタン)
FW アルテム・ベセディン

*月日/場所
 国名(前半得点)総得点<得点者>
*メンバー(交代メンバー)

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