決勝戦に相応しいハイレベルな攻防が!
見事な連携からSAMURAI BLUEが先制
『キリンカップサッカー2016』の決勝が、6月7日に大阪府の市立吹田サッカースタジアムで開催された。3日の準決勝でブルガリアに勝利したSAMURAI BLUE(日本代表)は、デンマークをPK戦で退けたボスニア・ヘルツェゴビナと対戦した。
ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が率いる日本は、負傷をしている本田圭佑(ACミラン/イタリア)が2試合連続で欠場し、ブルガリア戦の前半にケガをした香川真司(ボルシア・ドルトムント/ドイツ)もスタメンから外れた。
日本のシステムは、第1戦と同じ4-2-3-1。GKには西川周作(浦和レッズ)が指名された。DFラインには右から酒井高徳(ハンブルガーSV/ドイツ)、吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)、森重真人(FC東京)、長友佑都(インテル・ミラノ/イタリア)の4人が並ぶ。
中盤では長谷部誠(アイントラハト・フランクフルト/ドイツ)と柏木陽介(浦和レッズ)がダブルボランチを組む。ブルガリア戦と同じ組み合わせで、長谷部はこの日もキャプテンの腕章を巻く。
2列目は右から浅野拓磨(サンフレッチェ広島)、清武弘嗣(ハノーファー96/ドイツ)、宇佐美貴史(ガンバ大阪)が形成する。1トップは岡崎慎司(レスター・シティー/イングランド)である。
前半の日本は、左サイドから多くの好機を作り出した。3分、長友のクロスを浅野がヘディングで狙い、12分には宇佐美の右足シュートが相手GKのセーブに合う。
15分にも相手守備陣を崩す。長谷部の縦パスをペナルティエリア内で受けた清武の右足シュートが、GKの手をかすめてバーを直撃した。複数の選手がボールに絡む連動性豊かな攻撃は、スタンドを沸かせ、相手守備陣を追い詰めていく。
守備陣も奮闘する。18分、相手の右CKから至近距離でシュートを許すが、GK西川が見事な反応で弾き出した。
この試合最初のゴールは、28分に生まれた。ゴールネットを揺らしたのは日本である。左サイドからドリブルで仕掛けた宇佐美のパスを、ゴール前へ走り込んだ清武が左足でプッシュした。
ところが、29分に失点を喫してしまう。GK西川が一度はシュートを阻止したが、詰めていたミラン・ジュリッチに押し込まれてしまった。
1-1で迎えた41分、日本が波状攻撃を仕掛ける。長友のクロスに浅野が飛び込み、GKがパンチングしたボールを柏木が長谷部へつなぐ。長谷部のシュートはDFにブロックされるが、清武が保持して岡崎へつなぐ。岡崎とDFが競り合った末のルーズボールを、浅野が左足で狙った。
45分にも相手ゴールへ迫る。宇佐美のシュートがGKに阻まれた。ボスニア・ヘルツェゴビナも応酬してくる。45+2分、ハリス・メドゥニャニンの直接FKがバーを叩く。互いの強みを発揮したハイレベルな攻防が、雨の降り注ぐピッチで繰り広げられた。
最後まで猛攻を仕掛けるも一歩及ばず!
後半開始とともに、ハリルホジッチ監督は柏木に代えて遠藤航(浦和レッズ)を投入する。遠藤はダブルボランチの一角に入り、システムも前半と同じ4-2-3-1で臨む。
キリンカップ優勝へ闘志を燃やす日本は、後半も意欲的に相手ゴールへ迫る。48分、清武のスルーパスに反応した浅野が、ペナルティエリア内から際どい一撃を放つ。浅野と酒井高徳が連携を図る右サイドが、相手守備陣に対して主導権を握っていく。
66分、吹田スタジアムに一瞬の沈黙が走った。クイックリスタートから、ジュリッチに2点目を決められてしまったのだ。
追いかける展開となった日本は、交代選手を起用してチームを活性化する。70分、長友に代わって槙野智章(浦和レッズ)が左サイドバックに入る。74分には宇佐美が退いて小林祐希(ジュビロ磐田)が、79分には岡崎がベンチへ下がって金崎夢生(鹿島アントラーズ)が登場する。
小林は78分に得意の左足でシュートを浴びせ、金崎は最前線で相手DFに圧力をかけた。槙野も左サイドで高い位置を取り、森重と吉田の両CBとボランチ遠藤は、CKで果敢に空中戦を挑んだ。
88分には長谷部と小林悠(川崎フロンターレ)が交代し、最前線に小林と金崎が並ぶ。浅野、清武、小林の2列目も高い位置を取る。アディショナルタイムの4分も攻撃の姿勢を貫いた日本だが、あと一歩及ばずに優勝を逃すこととなった。
自身の監督就任後2度目の敗戦となったハリルホジッチ監督は、「他の結果を出せる資格が我々にはあったと思っている。失点は集中力の欠如が原因だった」と語った。同時に、「良いレッスンだった」とも話している。
ヨーロッパから強豪を招いた今回の『キリンカップサッカー2016』を通して、日本は自分たちの強みを再確認し、課題を整理することができた。ハリルホジッチ監督指揮下での初タイトルは獲得できなかったが、実り多き大会だったと言うことができるだろう。
試合データ
■6月7日 市立吹田サッカースタジアム
日本代表 [1-2] ボスニア・ヘルツェゴビナ代表
<代表監督> ヴァイッド・ハリルホジッチ
<出場選手>
■6月7日/市立吹田サッカースタジアム
日本代表 (1) 1 | <清武 弘嗣> | |
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ボスニア・ヘルツェゴビナ代表 (1) 2 | <M.ジュリッチ M.ジュリッチ> | |
日本 | ||
GK | 西川 | |
DF | 長友(槙野) 森重 吉田 酒井 | |
MF | 長谷部(小林) 柏木(遠藤) 清武 | |
FW | 岡崎(金崎) 宇佐美(小林) 浅野 | |
ボスニア・ヘルツェゴビナ | ||
GK | イブラヒム・シェヒッチ | |
DF | マテオ・スシッチ エディン・コカリッチ トニ・シュニッチ アルミル・ベキッチ | |
MF | マリオ・ブランチッチ(フィリップ・アレジナ) ハリス・メドゥニャニン ハリス・ドゥリェビッチ(ミロスラフ・ステバノビッチ) イゼト・ハイロビッチ(アレクサンダル・コソリッチ) | |
FW | ミラン・ジュリッチ(ズボニミル・コジュリ) アルミン・ホジッチ |
*月日/場所
国名(前半得点)総得点<得点者>
*メンバー(交代メンバー)
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