来る決戦へ向けた最終調整
さあ、準備は整った!
6月に世界大会を控えるなでしこジャパン (日本女子代表)が、5月31日に大会前最後となる国際試合に臨んだ。対戦相手はイタリア女子代表で、舞台は南長野運動公園総合競技場(長野県)だ。
3月に全面改装工事が完了したばかりのスタジアムは、キックオフ前から熱気に包まれていた。両チームのウォーミングアップ時からファン・サポーターの歓声が轟き、ゴール裏からスタジアム全体へひろがっていく。なでしこジャパンへの期待と興奮に、観衆は胸を高鳴らせている。
佐々木則夫監督がスタメンに送り出した11人は、来るべき世界大会を想定したものだっただろう。ゴールマウスに立つのは海堀あゆみ(INAC神戸レオネッサ)で、最終ラインには右から近賀ゆかり(INAC神戸レオネッサ)、岩清水梓(日テレ・ベレーザ)、熊谷紗希(オリンピック・リヨン/フランス)、宇津木瑠美(モンペリエHSC/フランス)が並ぶ。宇津木はMF登録だが、この試合は左サイドバックでの出場だ。
中盤では澤穂希(INAC神戸レオネッサ)と阪口夢穂(日テレ・ベレーザ)がダブルボランチを組み、2列目の右サイドを川澄奈穂美(INAC神戸レオネッサ)が、左サイドを宮間あや(岡山湯郷Belle)が務める。宮間は左腕にキャプテンマークを巻く。
2トップに並ぶのは、大野忍(INAC神戸レオネッサ)と大儀見優季(VfLヴォルフスブルク/ドイツ)だ。流動性を含んだ4-4-2のシステムで、なでしこジャパンはイタリア女子代表と対峙していく。
互いのプライドがぶつかり合う白熱の攻防が!
最初に決定機を作り出したのは、なでしこジャパンだ。18分、敵陣でボールを奪った大儀見からパスを受け、大野がドリブルで持ち込む。ペナルティエリア手前から左足を振り抜く。コントロールされた一撃が、右ポストを叩いた。
直後にはイタリアの攻撃を受けるが、GK山郷がシュートに素早く反応し、セカンドボールは熊谷がクリアした。なでしこジャパンが攻撃をする時間が長い展開のなかで、ディフェンス陣は高い集中力を保っている。山郷と岩清水らの4バックは、攻撃のビルドアップもはかっていく。
26分と28分には、大儀見がシュートへ持ち込む。32分には宮間の直接FKが相手GKを脅かし、35分には澤がペナルティエリアでフィニッシュする。
右サイドで近賀と川澄が、左サイドでは宇津木と宮間がスムーズに連携を取りつつ、ダブルボランチと2トップが両サイドからの崩しにタイミング良く絡む。緩急のリズムをつけたパスワークで、なでしこジャパンは相手ゴールへ迫っていった。
抜群のコンビネーションからファインゴール!
後半開始とともに、佐々木監督は川澄に代えて菅澤優衣香(ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)を起用する。菅澤は2トップの一角を担い、大野が2列目の右サイドへ下がった。
スタジアムの興奮が一気に高まったのは、後半開始から間もない52分だった。左サイドバック宇津木のライナー性のクロスを、大儀見が右足ボレーでゴール左スミへ突き刺す。選手同士が適切な距離感を保ちながらパスをつないでいく攻撃が、ついに得点へ結びついたのだった。試合の流れをも掌握する先制弾である。
1対0とリードした62分、澤に代わって鮫島彩(INAC神戸)が投入される。DF登録の鮫島が左サイドのMFへ入り、宮間が澤の務めていたボランチへスライドする。世界大会前最後のテストマッチだけに、こうしたオプションの見極めも重要なテーマだ。佐々木監督は69分にも近賀と有吉佐織(日テレ・ベレーザ)を、74分には海堀と福元美穂((岡山湯郷Belle)を交代させる。
選手の組み合わせやポジションが変わっても、なでしこジャパンの優勢は変わらない。78分にはセットプレーからチャンスを作り出す。宮間の左CKに阪口が飛び込み、フリーでヘディングシュートを放つ。しっかりと叩きつけた基本どおりの一撃だったが、ボールは際どくバーを越えてしまった。
82分、大儀見が退いて安藤梢(1.FFCフランクフルト/ドイツ)が送り込まれ、86分には川村優理(ベガルタ仙台レディース)が宮間に代わって登場する。勝利の追求と並行して、様々なトライが進められた。
残り時間が少なくなっても、なでしこジャパンは意欲的にゴールを目ざす。後半終了間際にも、スタンドに大きな歓声が駆け抜ける。
菅澤が右サイドからドリブルで持ち込み、DFを次々にかわしていく。パスを受けた鮫島は至近距離から狙うが、右足のシュートは惜しくもゴールマウスをとらえられなかった。
試合後の佐々木監督は、「最後の最後まで緊張感のあるゲームができました。攻守にわたってやろうとしていることは表現していました」と、拮抗したゲームを制したことを評価した。指揮官、選手ともに課題をあげることを忘れなかったが、最終調整としては申し分のない内容だったに違いない。「(世界大会へ向けて)弾みがつきました」という佐々木監督の言葉には、確かな手ごたえが感じられた。
試合データ
■5月28日 南長野運動公園総合球技場
日本女子代表 [1-0] イタリア女子代表
<代表監督> 佐々木 則夫
<出場選手>
■5月28日/南長野運動公園総合球技場
日本女子代表 (0) 1 | <大儀見 優季> | |
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イタリア女子代表 (0) 0 | ||
日本 | ||
GK | 海堀(福元) | |
DF | 近賀(有吉) 岩清水 熊谷 | |
MF | 澤(鮫島) 宮間(川村) 川澄(菅澤) 阪口 宇津木 | |
FW | 大野 大儀見(安藤) | |
イタリア | ||
GK | ラウラ・ジュリアニ | |
DF | エリザ・バルトリ サラ・ガマ エレナ・リナリ リンダ・トゥッチェリ・チミニ(クラウディア・スキッツァート) | |
MF | ダニエラ・ストラッキ バレンティナ・チェルノイア(マルタ・カリッシミ) マルティナ・ロスッチ(アリア・グアニ) | |
FW | メラニア・ガッビアディニ クリスティアナ・ジレッリ(マヌエラ・ジュリアノ) バレンティナ・ジャチンティ(バルバラ・ボナンセア) |
*月日/場所
国名(前半得点)総得点<得点者>
*メンバー(交代メンバー)
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