ハリルホジッチ監督の日本代表が始動!
ヴァイッド・ハリルホジッチ新監督を迎えたSAMURAI BLUE(日本代表)が、力強い第一歩を踏み出した。3月27日、大分スポーツ公園総合競技場(大分県)で『キリンチャレンジカップ2015』が行われ、2対0で勝利を飾ったのである。
ボスニア・ヘルツェゴビナ出身の指揮官は、フレッシュな印象を与えるメンバーをスタメンに選んだ。GKは権田修一(FC東京)が起用され、最終ラインは右から酒井宏樹(ハノーファー96/ドイツ)、吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)、槙野智章(浦和レッズ)、藤春廣輝(ガンバ大阪)が4バックを形成する。中盤は長谷部誠(アイントラハト・フランクフルト/ドイツ)と山口蛍(セレッソ大阪)がダブルボランチを組み、2列目に右から永井謙佑(名古屋グランパス)、清武弘嗣(ハノーファー96/ドイツ)、武藤嘉紀(FC東京)の3人が並ぶ。1トップは川又堅碁(名古屋グランパス)だ。
4-2-3-1のシステムに配された11人のうち、1月の国際大会に出場したのは吉田、長谷部、清武、武藤の4人だけである。藤春と川又は国際Aマッチデビューだ。
試合の主導権は、序盤から日本が握った。マイボールを素早く敵陣へ供給するタテに速い攻撃が、相手守備陣を困惑させていくのだ。
最初の決定機は21分である。敵陣左サイドの山口が、ワンタッチでタテパスを通す。永井がスルーしたボールを武藤がペナルティエリア内で受け、相手ゴールへと迫る。この攻撃で左CKを得ると、清武のキックを川又がヘディングで合わせる。先制点かと思われたが、惜しくもバーに嫌われてしまった。
32分には鮮やかな連携がスタンドを沸かせる。右サイド深くで酒井がスローインを入れると、永井がワンタッチで落とす。連動した長谷部がペナルティエリア内右から、やはりワンタッチでマイナスへクロスを通す。フリーでパスを受けた清武が、至近距離からフィニッシュへ持ち込んだ。
前半のうちにゴールネットを揺らすことはできなかったが、チュニジアにはチャンスさえ与えていない。新監督のデビュー戦としては、申し分のない内容だったはずだ。
途中出場の経験者が勝利を引き寄せる!
0対0のまま後半が15分を迎えたところで、ハリルホジッチ監督が交代選手を投入する。60分、清武に代わって香川真司(ボルシア・ドルトムント/ドイツ)が、永井に代わって本田圭佑(ACミラン/イタリア)がピッチに立った。清武は高いテクニックとパスセンスを、永井は持ち前のスピードを生かし、それぞれに持ち味を発揮した。
72分にも選手交代が行われる。武藤が退いて宇佐美貴史(ガンバ大阪)が送り出され、1トップが川又から岡崎慎司(1.FSVマインツ/ドイツ)となる。 得意のドリブルで左サイドを切り崩した武藤と、貪欲にゴールを目ざした川又も、それぞれに特徴を表現した。
3万4777人の観衆で埋まるスタジアムが、ひと際大きな歓声に包まれたのは78分だった。長谷部のタテパスをスイッチに岡崎から香川へボールがつながり、左サイドへ回り込んだ本田がペナルティエリア内でパスを受ける。ファーサイドへクロスが供給されると、岡崎が頭で押し込んだ。
ファン・サポーターと歓喜を分かち合う瞬間は、83分にも訪れる。ペナルティエリア左から、香川がゴール前へシュート性のクロスを入れる。相手GKが弾いたボールを、詰めていた本田が左足でプッシュした。
2対0となった直後の84分、ハリルホジッチ監督はさらに2人の選手を交代させる。酒井から内田篤人(FCシャルケ04/ドイツ)、山口から今野泰幸(ガンバ大阪)へのスイッチだ
残り時間がわずかとなっても、日本は攻撃の手を緩めない。86分、香川の右足ミドルが相手GKを鋭く襲い、88分には宇佐美のコースを狙ったシュートが右ポストを弾く。
攻撃陣だけではなく、守備陣にも触れるべき一戦である。
GK権田は、高い集中力でゴールにカギをかけた。吉田と槙野の両センターバックは、最終ラインをコントロールしながら局面の攻防で強さを示した。酒井と藤春もマッチアップする相手を確実に封じつつ、機を見たオーバーラップで攻撃に厚みをもたらした。山口は持ち前のボール奪取能力を、随所で見せつけた。
出場時間の少なかった内田と今野も、右サイドバックとボランチのポジションで存在感をアピールした。フル出場した長谷部は、攻守にわたってチームを引き締めた。チーム全員でつかんだ勝利である。
試合後のハリルホジッチ監督は、満足そうな表情を浮かべた。
「とても満足しています。選手たちは最初からアグレッシブさとやる気を見せ、良い雰囲気と競争を作ってくれました。非常に良い試合でした。これは我々にとって、とても大事な勝利です。新しい日本の始まりになりました」
6月にスタートする公式戦へ向けて、さらには2018年の大舞台を見据えて、日本代表はハリルホジッチ監督とともに新たな冒険へ旅立ったのである。
試合データ
■3月27日 大分スポーツ公園総合競技場
日本代表 [2-0] チュニジア代表
<代表監督> ヴァイッド・ハリルホジッチ
<出場選手>
■3月27日/大分スポーツ公園総合競技場
日本代表 (0) 2 | <岡崎慎司 本田 圭佑> | |
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ニュージーランド代表 (0) 0 | ||
日本 | ||
GK | 権田 | |
DF | 槙野 吉田 藤春 酒井(内田) | |
MF | 長谷部 清武(香川) 山口(今野) | |
FW | 永井(本田) 川又(岡崎) 武藤(宇佐美) | |
チュニジア | ||
GK | モエズ・ベン・シェリフィア | |
DF | シアム・ベン・ユーセフ アイメン・アブデヌール アリ・マールル | |
MF | ウシン・ラグ マヘル・ハンナシ ベン・ハティラ・アニス(モハメド・グイダ) ウシン・ナテル(ハムザ・マトルティ) モハメド・アリ・モンセル | |
FW | フェルジャニ・サッシ(モハメド・ワイル・ラルビ) アハメド・アカイチ(サベール・ケリファ) |
*月日/場所
国名(前半得点)総得点<得点者>
*メンバー(交代メンバー)
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