就任第1戦で垣間見えたアギーレ新監督の「色」
メキシコ人のハビエル・アギーレ新監督を迎えたSAMURAI BLUE(サッカー日本代表)が、新たな冒険の第一歩を踏み出した。9月5日に『キリンチャレンジカップ2014』が北海道/札幌ドームで開催され、日本代表はウルグアイ代表と激突したのである。
日本が札幌ドームでゲームを行うのは、2012年8月の『キリンチャレンジカップ』で、ベネズエラ代表と対戦して以来だ。また、ウルグアイとは前年8月の『キリンチャレンジカップ』で顔を合わせ、2対4で敗れている。日本にとってはリベンジを誓う一戦である。
GKには川島永嗣(スタンダール・リエージュ/ベルギー)が入り、最終ラインは右から酒井宏樹(ハノーファー96/ドイツ)、吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)、坂井達弥(サガン鳥栖)、長友佑都(インテル・ミラノ/イタリア)の4人で構成される。代表初選出の坂井は、いきなりスタートリストに名を連ねた。
中盤は3人が逆三角形の配置に並ぶ。アンカーポジションにはDF登録の森重真人(FC東京)が入り、右インサイドハーフは細貝萌(ヘルタ・ベルリン/ドイツ)、左インサイドハーフは田中順也(スポルティング/ポルトガル)が起用された。今夏に海外移籍した田中は、2012年2月のアイスランド戦以来の国際Aマッチだ。
3トップは右に本田圭佑(ACミラン/イタリア)、中央に皆川佑介(サンフレッチェ広島)、左に岡崎慎司(1.FSVマインツ/ドイツ)が入る。186センチの長身を誇る皆川は、坂井と同じように初代表初スタメンだ。本田はキャプテンマークを巻く。
選手の配置からすると4-3-3のシステムになるが、森重が最終ラインへ下がり、酒井と長友が高い位置を取って3-4-3のようにもなる。柔軟性に富んだスタイルだ。
世界的強豪と互角の攻防を繰り広げる!
韓国のキム・サンウ主審の笛で動き出した試合は、日本がボール支配率で上回る展開で進んでいく。5分、左サイドからゴールに迫った岡崎が、立て続けに2本のシュートを放つ。ベンチ入りの11人を含めて最多の国際Aマッチ出場となる岡崎の積極性は、試合の主導権を握るきっかけとなっただろう。
札幌ドームの観衆が、大きく沸いたのは17分だ。左サイドからのクロスを、皆川がヘディングで合わせる。ゴール正面からフリーで放たれた一撃は、惜しくもバーを越えていった。27分には本田のパスを受けた田中が、得意の左足からミドルシュートを浴びせる。
この試合最初のスコアが刻まれたのは、34分だった。最終ラインでボールを失い、カバニにゴールを奪われてしまった。
ビハインドを背負った日本だが、攻撃的な姿勢に変わりはない。その後は決定的なシーンを作り出せなかったものの、ウルグアイにも好機を与えず0対1でハーフタイムを迎えた。
後半開始から10分ほどが過ぎた58分、アギーレ監督が動く。皆川に代えて武藤嘉紀(FC東京)が投入されたのだ。システムは4-3-3のままで、武藤が3トップの左サイドに入り、岡崎が3トップ中央へスライドする。現役大学生の武藤は、国際Aマッチ初出場である。
「4-3-3がベースになるが、柔軟性を持って戦っていきたい」と話すアギーレ監督の戦略が、具体的に表れたのは65分だ。本田が最前線へポジションを上げて2トップとなり、2列目は右に武藤、左に田中が入る。森重と細貝がダブルボランチを組み、4-4-2へシステムが変更されたのだ。
76分に田中から柿谷曜一朗(FCバーゼル1893/スイス)へ交代しても、ピッチ上に混乱はない。87分に酒井宏と酒井高徳(VfBシュツットガルト/ドイツ)が、89分に森重と森岡亮太(ヴィッセル神戸)が交代しても、チームの機能性は保たれていた。日本代表デビューとなった森岡は、短い出場時間で彼らしいスルーパスを通している。
70分に2点目を喫していた日本が、相手ゴールへ鋭く迫ったのは88分だ。武藤のシュートが左ポストを直撃したのだ。
強豪に0対2で敗れたものの、試合後のアギーレ監督に失望感はなかった。結果について問われると、「(失点につながった)こちらのふたつのミスと、ウルグアイの経験が違いを生んだと思う」と分析した。さらに続けて、「日本は非常に若いチームで、今日は4人がデビューした。こういう結果になったが、私は満足している部分も感じている」と話した。
新監督の初陣にふさわしい新鮮な風が吹き抜け、生まれ変わったSAMURAI BLUEは確かな第一歩を踏み出したのである。
試合データ
■9月5日 札幌ドーム
日本代表 [0-2] ウルグアイ代表
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1) FW 皆川 佑介 2) GK 川島 永嗣 3) DF 吉田 麻也 4) DF 森重 真人 5) DF 坂井 達弥 6) FW 本田 圭佑 7) DF 酒井 宏樹 8) MF 細貝 萌 9) MF 田中 順也 10) DF 長友 佑都 11) FW 岡崎 慎司 |
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1) FW 皆川 佑介
2) GK 川島 永嗣
3) DF 吉田 麻也
4) DF 森重 真人
5) DF 坂井 達弥
6) FW 本田 圭佑
7) DF 酒井 宏樹
8) MF 細貝 萌
9) MF 田中 順也
10) DF 長友 佑都
11) FW 岡崎 慎司
写真提供/©Jリーグフォト
<代表監督> ハビエル・アギーレ
<出場選手>
■9月5日/札幌ドーム
日本代表 (0) 0 | ||
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ウルグアイ代表 (1) 1 | <エディンソン・カバニ アベル・エルナンデス> | |
日本 | ||
GK | 川島 | |
DF | 長友 森重(森岡) 坂井 酒井 宏(酒井 高) 吉田 | |
MF | 田中(柿谷) 細貝 | |
FW | 本田 岡崎 皆川(武藤) | |
ウルグアイ | ||
GK | フェルナンド・ムスレラ | |
DF | ホセ・マリア・ヒメネス ディエゴ・ゴディン マキシミリアノ・ペレイラ(マティアス・アギーレガライ) マティアス・コルホ(アルバロ・ゴンサレス) マルティン・カセレス(カミロ・マジャダ) | |
MF | クリスティアン・ロドリゲス(アルバロ・ペレイラ) ニコラス・ロデイロ エヒディオ・アレバロ・リオス | |
FW | ディエゴ・ロラン(アベル・エルナンデス) エディンソン・カバニ(クリスティアン・ストゥアニ) |
*月日/場所
国名(前半得点)総得点<得点者>
*メンバー(交代メンバー)
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