電光石火の4連弾に国立が揺れる!
勝負の年となる2014年のスタートを、SAMURAI BLUE(日本代表)が白星で飾った。3月5日、『キリンチャレンジカップ2014〜ありがとう国立競技場〜』が開催され、日本代表はニュージーランド代表を4対2で退けたのだ。
19時40分にキックオフされた一戦は、電撃的なゴールで幕を開ける。
キックオフ直後の3分だった。4-2-3-1の「3の左」に入る香川真司(マンチェスター・ユナイテッド/イングランド)の縦パスと、「3の右」の岡崎慎司(1.FSVマンイツ05/ドイツ)の動きがシンクロする。DFに身体を寄せられながらも、岡崎はわずかなシュートコースを見逃さない。倒れ込みながら右足でとられたボールは、飛び出したGKと入れ替わるようにゴールネットへ吸い込まれた。岡崎を中心とした歓喜が、スタジアム全体へひろがっていく。
開始早々に奪ったリードは、日本に勢いを、ニュージーランドに戸惑いをもたらした。7分、トップ下の本田圭佑(ACミラン/イタリア)からパスを受けた香川が、ドリブル突破を仕掛ける。ペナルティエリア内で、相手DFのファウルを誘う。ペナルティキックだ!
香川が右足で冷静に決め、日本のリードは2点にひろがる。背番号10のゴールは、昨年9月に開催された『キリンチャレンジカップ2013』のガーナ戦以来だ。
11分の3点目はリスタートからだ。右サイドで得た直接フリーキックを、本田がゴール前へ供給する。DFがクリアできず、GKも飛び出せない絶妙なボールを、ゴールネットへ突き刺したのは森重真人(FC東京)だ。今野泰幸(ガンバ大阪)の離脱で先発出場のチャンスをつかんだ26歳の右センターバックが、国際Aマッチ出場7試合目で初ゴールをマークした。
この時点で圧倒的優位に立った日本だが、攻撃の勢いを緩めることはない。17分には鮮やかなパスワークから、ニュージーランド守備陣を翻弄する。
自陣右サイド深くで森重がクリアしたボールを、岡崎がヘディングでつなぐ。1トップの大迫勇也(TSV1860ミュンヘン/ドイツ)が、ワンタッチで本田へはたく。本田のパスは相手選手にカットされたが、こぼれ球は左センターバックの吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)が支配した。吉田はすぐに左サイドの香川へつなぐ。
センターライン付近からドリブルで持ち込む香川に合わせて、大迫、本田、岡崎が全速でランニングする。香川はゴール正面の本田へパスをつなぐと、本田はヒールパスで後方へ流す。
ここに、岡崎が走り込んでいた。左足を振り抜いた一撃は相手GKのセーブを許さない。4点目だ。国際Aマッチの通算得点を「38」に伸ばした岡崎は、原博実氏(現日本サッカー協会専務理事)を抜いて歴代3位に躍り出た。
「確認」という目的は達成された
日本の攻勢はなおも続く。27分、ダブルボランチの一角を担う青山敏弘(サンフレッチェ広島)が、縦のスペースへ飛び出した左サイドバックの長友佑都(インテル・ミラノ/イタリア)にボールをつなぐ。この試合のゲームキャプテンを務める長友のクロスは、岡崎のヘディングシュートを生み出した。
直後の28分には、右サイドバック酒井宏樹(ハノーファー96/ドイツ)が持ち味を発揮する。香川のパスから右サイドを抜け出し、ゴール前へライナーのクロスを通す。飛び込んだ大迫にはわずかに合わなかったが、酒井宏らしい攻め上がりだった。山口蛍(セレッソ大阪)と青山のダブルボランチがボールを動かし、酒井宏が駆け上がる時間を作り出したのも見逃せない。
39分に1点を失ったものの、前半の日本は観衆を多いに沸かせた。充実した内容を得点に結びつけ、4対1でハーフタイムを迎えた。
後半開始とともに、アルベルト・ザッケローニ監督は4人の選手を交代させる。酒井宏に代わって酒井高徳(VfBシュツットガルト/ドイツ)が、青山と交代で遠藤保仁(ガンバ大阪)が登場する。山口もベンチへ下がって細貝萌(ヘルタ・ベルリン/ドイツ)が起用され、岡崎が退いて清武弘嗣(1.FCニュルンベルク/ドイツ)がピッチに立つ。
選手が入れ替わっても、日本はボールポゼッションで優位に立った。ニュージーランドに攻め込まれる時間もあったが、74分には決定的なシーンを作り出す。左サイドから長友が入れたクロスを遠藤が落とし、清武がゴール正面から右足で狙う。GKのセーブを許さない一撃は、惜しくも左ポストに弾かれた。
ザッケローニ監督は79分に齋藤学(横浜F・マリノス)を、80分には豊田陽平(サガン鳥栖)を送り込む。6人の交代枠をすべて使ったのは、多くの選手に出場機会を与えるためだ。齋藤は得意のドリブルから相手守備陣を脅かし、豊田もシュートを記録した。
後半は追加点を奪うことができず、逆に80分に失点を喫した。それでも、「非常に有益な試合だった」とザッケローニ監督は振り返る。「この試合の目的は、自分たちのやり方を思いだしてもらうことと、これまでチャンスのなかったメンバーを、ゲームのなかで見ることだった」からだ。2失点を喫したとはいえ、GK川島永嗣(スタンダール・リエージェ/ベルギー)のプレーは安定感に満ちていたことにも、触れておくべきだろう。
現国立競技場で最後の代表戦となるニュージーランドとの『キリンチャレンジカップ2014』により、選手たちは個々の役割とチーム戦術を再確認することができた。来るべき世界との遭遇へ向けて、準備は着々と進行している。
試合データ
■3月5日 国立競技場
日本代表 [4-2] ニュージーランド代表
1) GK 川島 永嗣 2) DF 酒井 宏樹 3) MF 吉田 麻也 4) FW 大迫 勇也 5) DF 森重 真人 6) MF 本田 圭佑 7) MF 青山 敏弘 8) MF 山口 蛍 9) DF 長友 佑都 10) FW 岡崎 慎司 11) MF 香川 真司 |
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1) GK 川島 永嗣
2) DF 酒井 宏樹
3) MF 吉田 麻也
4) FW 大迫 勇也
5) DF 森重 真人
6) MF 本田 圭佑
7) MF 青山 敏弘
8) MF 山口 蛍
9) DF 長友 佑都
10) FW 岡崎 慎司
11) MF 香川 真司
<代表監督> アルベルト ザッケローニ
<出場選手>
■3月5日/国立競技場
日本代表 (4) 0 | <岡崎慎司 香川真司 森重真人 岡崎慎司> | |
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ニュージーランド代表 (1) 1 | <クリス・ウッド クリス・ウッド> | |
日本 | ||
GK | 川島 | |
DF | 長友 森重 酒井宏(酒井高) 吉田 | |
MF | 本田 香川(齋藤) 青山(遠藤) 山口(細貝) | |
FW | 岡崎(清武) 大迫(豊田) | |
ニュージーランド | ||
GK | グレン・モス | |
DF | ビル・トゥイロマ(ベン・シグムンド) ストーム・ルー(キャメロン・ハウィーソン) マイケル・ボクスオール アンドリュー・デュランテ | |
MF | マイケル・マグリンチィ(クリス・ジェームズ) ライアン・トーマス(ロリー・ファロン) ティム・ペイン | |
FW | タイラー・ボイド コスタ・バルバロウセス(ジェレミー・ブロッキー) クリス・ウッド |
*月日/場所
国名(前半得点)総得点<得点者>
*メンバー(交代メンバー)
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