大阪長居スタジアムでのグアテマラ戦から4日後、横浜国際総合競技場へ舞台を移して『キリンチャレンジカップ2013』が行なわれた。
今回迎えるガーナ代表のFIFAランキング(8月8日時点)はアフリカ大陸2位の24位で、37位のSAMURAI BLUE(日本代表)を上回る。
試合前日の公式記者会見に臨んだアルベルト・ザッケローニ監督も、「ガーナは前回のワールドカップで結果を残している。技術もフィジカルも非常に高く、闘争心もある」と警戒心を示した。同時に、「結果はもちろん大切だが、W杯へ向けてしっかりと準備をしていくうえで、内容や成長も大切だと思っている」と試合の意義を説明した。
フレッシュな選手を先発で起用したグアテマラ戦を受け、ザッケローニ監督は継続性を感じさせるメンバーをスタメンに選んだ。システムはチームのベースとなる4-2-3-1で、川島永嗣(スタンダール・リエージュ/ベルギー)がゴールマウスに立つ。最終ラインは右から内田篤人(FCシャルケ04/ドイツ)、今野泰幸(ガンバ大阪)、吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)、長友佑都(インテル・ミラノ/イタリア)で構成され、遠藤保仁(ガンバ大阪)と長谷部誠(1.FCニュルンベルク/ドイツ)がダブルボランチを組む。
2列目は右から清武弘嗣(1.FCニュルンベルク/ドイツ)、本田圭佑(CSKAモスクワ/ロシア)、香川真司(マンチェスター・ユナイテッド/イングランド)の3人だ。グアテマラ戦に先発した岡崎慎司(1.FSVマインツ05/ドイツ)は、負傷のためチームを離れた。
1トップは柿谷曜一朗(セレッソ大阪)である。グアテマラ戦に後半から出場した彼は、ウルグアイと対戦した8月の『キリンチャレンジカップ2013』以来の先発だ。
組織と個の力が高次元で融合する日本と、スピードとフィジカルに長けたガーナの激突は、序盤から緊迫感に満ちたものとなる。最初のシュートは日本が記録した。10分、清武のパスを受けた本田が、ペナルティエリア外から狙う。得意の左足から放たれたシュートが、相手GKを鋭く襲った。
この一撃でリズムを引き寄せた日本は、立て続けに相手ゴールヘ迫っていく。23分には決定機をつかんだ。香川のロングフィードから、清武がDFラインの背後をつく。1対1のシーンだ。しかし、素早く間合いを詰めた相手GKにシュートをブロックされた。
直後の24分だった。二つの不運が重なり、ガーナに先制点を喫してしまう。
自陣ゴール前で香川が奪い返したボールが、味方選手に当たって相手へのパスになったのがひとつ目である。もうひとつは、シュートブロックをした内田の身体にボールが当たり、コースが変わってしまったことだった。
ビハインドを背負った日本だが、すぐに相手ゴールを脅かす。29分、カウンターから香川が持ち出し、ペナルティエリア内左の柿谷へ。グラウンダーのクロスに本田がフリーで反応するが、シュートはバーをこえてしまった。
その後も日本は、多彩な攻撃を繰り出す。36分、ショートコーナーから香川が際どい一撃を見舞う。41分には、柿谷と長友が相手ゴールに押し寄せた。日本が得点の香りを漂わせつつも、前半は0対1で終了した。
試合の主導権を引き寄せるビッグプレーは、後半開始早々の50分に生まれた。左サイドからカットインした香川が、ペナルティエリア直前で右足を振り抜く。地を這うような弾道の一撃が、ゴール左スミに吸い込まれた。
1対1に追いついたことで、スタジアムがそれまで以上にヒートアップする。ファン・サポーターの声援が選手を後押しし、ジャパンブルーのユニホームがピッチ上で躍動する。60分には香川のクロスから、本田がオーバーヘッドシュートを見舞う。追加点の予感がスタジアムを駆け抜けるなかで、遠藤が6万4000人をこえる大観衆を熱狂へ誘う。本田とのワンツーから、右足でゴールネットを揺すったのだ。
74分のダメ押し弾は、日本が得意とするセットプレーから生まれた。左サイドから遠藤が供給した絶妙なクロスを、本田が頭で合わせたのである。
ここからザッケローニ監督は、交代選手を次々と投入していく。3対1とした直後の75分、柿谷に代わって大迫勇也(鹿島アントラーズ)が送り込まれる。79分には清武が退いて森重真人(FC東京)が登場し、システムは3-4-3となる。右から森重、吉田、今野が3バックを形成し、内田に代わっていた酒井高徳(VfBシュツットガルト/ドイツ)と長友が、最終ラインから中盤へポジションを上げる。
82分には長谷部と山口螢(セレッソ大阪)が交代し、ダブルボランチは遠藤と山口になる。さらに85分、香川がベンチへ下がり、齋藤学(横浜F・マリノス)が投入される。後半追加タイムの90+2分には、長友に代わって槙野智章(浦和レッズ)も出場した。
めまぐるしく選手を入れ替え、システムも変更しながら、日本は攻守における機能性を失わなかった。グアテマラ戦から徹底されてきた前線からの守備と球際の激しさ、さらには素早い攻守の切り替えは90分にわたって徹底され、ガーナを1点に封じ込めたのである。少ない守備機会でも集中を切らさなかった川島とDF陣の奮闘も、攻撃陣と同じくらいに評価されていいだろう。
「グアテマラ戦より今日のほうが良かったし、手強い相手によくやってくれたと思っている」と、試合後のザッケローニ監督は選手のプレーを讃えた。グアテマラ、ガーナとの『キリンチャレンジカップ2013』で、選手たちは「成長を続けていくことが大事」という指揮官の言葉を体現したのである。
■9月10日 横浜国際総合競技場(日産スタジアム)
日本代表 [3-1] ガーナ代表
1) GK 川島 永嗣 2) DF 吉田 麻也 3) DF 今野 泰幸 4) MF 遠藤 保仁 5) MF 本田 圭佑 6) MF 長谷部 誠 7) DF 内田 篤人 8) FW 柿谷 曜一朗 9) MF 清武 弘嗣 10) DF 長友 佑都 11) FW 香川 真司 |
-
1) GK 川島 永嗣
2) DF 吉田 麻也
3) DF 今野 泰幸
4) MF 遠藤 保仁
5) MF 本田 圭佑
6) MF 長谷部 誠
7) DF 内田 篤人
8) FW 柿谷 曜一朗
9) MF 清武 弘嗣
10) DF 長友 佑都
11) FW 香川 真司
<代表監督> アルベルト ザッケローニ
<出場選手>
■9月10日/横浜国際総合競技場(日産スタジアム)
日本代表 (0) 3 | <香川真司 遠藤保仁 本田圭佑> | |
---|---|---|
ガーナ代表 (1) 0 | <フランク・アチェアンポング> | |
日本 | ||
GK | 川島 | |
DF | 内田(酒井) 長友(槙野) 今野 吉田 | |
MF | 本田 遠藤 清武(森重) 長谷部(山口) | |
FW | 香川(齋藤) 柿谷(大迫) | |
ガーナ | ||
GK | ラザク・ブライマー | |
DF | サミュエル・インコーム(ダニエル・オパレ) キッシ・ボアテング ラシド・スマイラ(ジョナサン・メンサー) ジョン・ボイ ハリソン・アッフル(ラビウ・モハンメド) | |
MF | クリスティアン・アツ(マハトマ・オトー) ユシフラマン・チブサー フランク・アチェアンポング アルバート・アドマー(ソロモン・アサンテ) | |
FW | マジード・ワリス |
*月日/場所
国名(前半得点)総得点<得点者>
*メンバー(交代メンバー)
過去の試合レポートを見る | 過去の試合レポート |
---|