2014FIFAワールドカップブラジルの開幕をおよそ10か月後に控え、SAMURAI BLUE(日本代表)にとって貴重な強化試合が8月14日に実現した。『キリンチャレンジカップ2013』のウルグアイ戦が、宮城スタジアム(宮城県)で行なわれたのだ。
対戦相手のウルグアイは、FIFAワールドカップ優勝経験を持つ南米の強豪だ。これまで日本国内で4度対戦しており、最初の顔合わせは1985年5月の『キリンカップサッカー’85』だった。もっとも新しい対戦は08年8月の『キリンチャレンジカップ2008』で、日本は1対3で敗れている。対戦成績は1勝1分2敗だ。
今年6月のFIFAコンフェデレーションズカップ2013で、ウルグアイはベスト4に食い込んだ。チーム全体のハードワークと卓越した個人技が融合し、勝負強いサッカーを展開する。今回の来日メンバーも、ベストと言っていい布陣だ。
宮城スタジアムでの国際Aマッチは、09年10月の『キリンチャレンジカップ2009』以来である。スタジアムには早くから観衆が詰めかけ、アルベルト・ザッケローニ監督率いる日本に試合前から熱い視線を送っている。
FIFAコンフェデレーションズカップ2013の出場メンバーに、7月のEAFF東アジアカップ2013に参加した国内クラブ所属選手を加えて、日本は「新しいステージ」(ザッケローニ監督)に突入した。この試合では、柿谷曜一朗(セレッソ大阪)が先発に指名された。東アジアカップで得点王に輝いたこの23歳は、4-2-3-1の1トップを務める。
最初に相手ゴールヘ迫ったのは日本だ。2分、縦パスを受けた柿谷が、2列目左サイドの香川真司(マンチェスター・ユナイテッド/イングランド)へつなぐ。左サイドを抜け出た香川のクロスに、岡崎慎司(1.FSVマインツ05/ドイツ)が飛び込む。5分、香川のパスを受けたボランチ長谷部誠(VfLヴォルフスブルク/ドイツ)が、ゴール正面から右足で狙う。日本の積極性がウルグアイを自陣に押し止め、ファン・サポーターの歓声を誘う。
10分、右サイドバック内田篤人(FCシャルケ04/ドイツ)の縦パスを、柿谷がダイレクトで落とす。トップ下の本田圭佑(CSKAモスクワ/ロシア)が反応するが、わずかにタイミングが合わない。
直後の12分、ウルグアイのスアレスがフリーになる。日本に危機が押し寄せるものの、GK川島永嗣(スタンダール・リエージュ/ベルギー)が冷静な反応でしのぐ。
両チームともに活発な攻撃を展開していくなかで、先制点を奪ったのはウルグアイだった。27分、日本のDFラインがわずかに統率を欠いた瞬間に、スアレスとフォルランのコンビにゴールを割られたのだった。
2分後には直接FKから追加点を喫する。瞬く間に2点のビハインドを背負った日本だが、ひるむことなく攻め込んでいく。
31分、長谷部とダブルボランチを組む遠藤保仁(ガンバ大阪)の左CKから、岡崎がヘディングシュートを浴びせる。33分、岡崎がドリブルで持ち込み、右サイドからフォローした柿谷へつなぐ。ペナルティエリア内でボールを受けた柿谷だったが、ファーストタッチがわずかに長くなる。相手GKにシュートコースを消されてしまった。ウルグアイの守備陣を絶えず脅かしたものの、日本はゴールネットを揺らすことなくハーフタイムに突入した。
0対2でスタートした後半も、最初にチャンスをつかんだのは日本だ。47分、相手DFのクリアミスを、岡崎がGKとの1対1へ結びつける。しかしシュートはブロックされ、こぼれ球を狙った香川の一撃もGKの正面を突いてしまう。ここで試合の流れを引き寄せられなかった日本は、52分に3点目を許す。
宮城スタジアムに待望の熱狂が訪れたのは、その2分後だった。54分、敵陣左サイドの遠藤が、ゴール前の本田へ横パスを通す。DFラインとGKの間を狙った本田のパスに、岡崎が走り込む。混戦のなかで誰も触れないボールがゴール前にこぼれ、香川が走り込んでいた。代表通算15点目となるゴールが決まり、追撃の狼煙が上がる。
直後の56分、センターバック吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)に代わって伊野波雅彦(ジュビロ磐田)が起用される。最終ラインは右から内田、伊野波、今野泰幸(ガンバ大阪)、酒井高徳(VfBシュツットガルト/ドイツ)となる。控え選手を起用していくことも、こうしたテストマッチでは大切なポイントだ。1対4とされたあとの64分には、柿谷が退いて豊田陽平(サガン鳥栖)が送り出される。
72分、日本が2点目を奪う。本田が直接FKを蹴り込んだのだ。2対4と点差を詰めた日本は、75分に長谷部から山口螢(セレッソ大阪)、83分に内田から駒野友一(ジュビロ磐田)と選手交代をしながら、ウルグアイのゴールを脅かす。後半アディショナルタイムには香川が鋭いシュートを放ったが、相手GKに弾き出された。
試合はこのまま2対4で終了したが、ザッケローニ監督は「個々のパフォーマンスには満足できる部分もあった」と振り返った。世界的な強豪と真正面から勝負を挑み、相手を上回る20本ものシュートを記録したのだ。イタリア人指揮官の言葉には、確かな説得力がある。
中学・高校時代を過ごした宮城で初の国際Aマッチに挑んだ香川は、「次の試合に向けて、また頑張っていきたい」と前を向いた。SAMURAI BLUEは、決して立ち止まることなく前進していく。
■8月14日 宮城スタジアム
日本代表 [2-4] ウルグアイ代表
1) GK 川島 永嗣 2) DF 吉田 麻也 3) FW 柿谷 曜一朗 4) DF 今野 泰幸 5) FW 本田 圭佑 6) MF 長谷部 誠 7) DF 内田 篤人 8) MF 遠藤 保仁 9) DF 酒井 高徳 10) FW 岡崎 慎司 11) FW 香川 真司 |
<代表監督> アルベルト ザッケローニ
<出場選手>
■8月14日/宮城スタジアム
日本代表 (0) 2 | <香川真司 本田圭佑> | |
---|---|---|
ブルガリア代表 (2) 4 | <ディエゴ・フォルラン ディエゴ・フォルラン ルイス・スアレス アルバロ・ゴンサレス> | |
日本 | ||
GK | 川島 | |
DF | 内田(駒野) 今野 酒井 吉田(伊野波) | |
MF | 遠藤 長谷部(山口) | |
FW | 本田 岡崎 香川 柿谷(豊田) | |
ウルグアイ | ||
GK | フェルナンド・ムスレラ | |
DF | ディエゴ・ルガノ ディエゴ・ゴディン(セバスティアン・コアテス) マキシミリアノ・ペレイラ マルティン・カセレス(ホルヘ・フシレ) | |
MF | ワルテル・ガルガノ(セバスティアン・エグレン) クリスティアン・ロドリゲス(アルバロ・ペレイラ) ニコラス・ロデイロ(ガストン・ラミレス) アルバロ・ゴンサレス(クリスティアン・ストゥアニ) | |
FW | ルイス・スアレス ディエゴ・フォルラン |
*月日/場所
国名(前半得点)総得点<得点者>
*メンバー(交代メンバー)
過去の試合レポートを見る | 過去の試合レポート |
---|