日本代表が臨戦態勢を整えた。アラブ首長国連邦(UAE)を招いた『キリンチャレンジカップ2012』が9月6日に行なわれ、アルベルト・ザッケローニ監督率いるSAMURAI BLUE(日本代表)は1対0の勝利を収めた。
今回の『キリンチャレンジカップ』は、新潟県の東北電力ビッグスワンスタジアムが舞台となった。ザッケローニ監督のチームが新潟に登場するのは、昨年6月の『キリンカップサッカー2011』以来2度目となる。8月の『キリンチャレンジカップ』に続いて観戦チケットは前売りで完売となり、42,020人の大観衆でスタジアムが膨れ上がった。
2014 FIFAワールドカップ ブラジル アジア最終予選のイラク戦を5日後に控える日本にとっては、重要なシミュレーションの機会だ。UAEは同最終予選進出を逃したものの、若年層の大会で成果をあげてきた将来性豊かなチームである。プレースタイルもイラクと似通ったところがあり、この試合を通して現在のチーム状況を整理できる。
オープニングシュートは2分、日本が記録した。清武弘嗣(FCニュルンベルク/ドイツ)のスルーパスを、ペナルティエリア内右へ走り込んだ香川真司(マンチェスター・ユナイテッド/イングランド)がヒールパスでつなぐ。走り込んだ本田圭佑(CSKAモスクワ/ロシア)の右足ダイレクトシュートが、きわどくバーをかすめていった。4-2-3-1の2列目を任された3人が、いきなり流麗なパスワークを見せたシーンである。
20分にはフレッシュな戦力がアピールする。国際Aマッチ初スタメンを飾った酒井宏樹(ハノーバー96/ドイツ)のクロスから、6試合ぶり先発のハーフナー・マイク(SBVフィテッセ/オランダ)が右足ボレーを浴びせた。ボール支配率で上回る日本は、UAEのゴールに絶え間なく迫っていく。
34分には左サイドを突破されるが、相手MFの強烈な一撃はGK川島永嗣(スタンダール・リエージュ/ベルギー)が冷静にストップする。川島を含めたディフェンス陣は、高い集中力で相手攻撃陣に対応していた。
前半終了間際の45分には、ビッグチャンスが訪れた。酒井のダイレクトクロスから、ハーフナーが得意のヘディングシュートでゴールを襲う。惜しくもGKに弾かれたものの、得点の予感を漂わせながら前半を終了した。
ハーフタイムを挟んで、ザッケローニ監督が動く。左センターバックの伊野波雅彦(ヴィッセル神戸)に代えて、水本裕貴(サンフレッチェ広島)を起用するのだ。最終ラインは右から酒井、吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)、水本、駒野友一(ジュビロ磐田)の並びとなる。
また、長谷部誠(VfLヴォルフスブルク/ドイツ)もベンチへ下がり、細貝萌(バイヤー・レバークーゼン/ドイツ)が遠藤保仁(ガンバ大阪)とダブルボランチを組む。香川も前半だけで退き、2列目の左サイドに岡崎慎司(VfBシュツットガルト/ドイツ)が入った。1トップは前半同様にハーフナーである。
後半も主導権を握ったのは日本だ。52分、遠藤のパスを受けた本田がドリブルで持ち込み、ペナルティエリア外から強烈な左足シュートを見舞う。62分にはそれまでパスの出し手となってきた遠藤が、相手GKを脅かす右足ミドルを放った。
64分、ザッケローニ監督は本田を下げて中村憲剛(川崎フロンターレ)を投入する。トップ下でタクトをふるう31歳のベテランが、本田とは違う個性で攻撃を活性化していく。
待望のゴールは、69分に生まれた。中村のパスを受けた駒野が、ゴール前へクロスを供給する。DFはクリアできない。GKも触れない。絶妙なクロスは、ハーフナーのためにあった。
194センチの長身が躍動する。その瞬間、スタジアムが沸騰した。ハーフナーが昨年10月のタジキスタン戦以来となる得点をあげ、日本がリードを奪ったのだ。
その後も日本は攻撃の手を緩めない。78分には岡崎が巧みなステップでDFをかわし、決定的なシュートを放った。
直後の79分、酒井宏樹に代わって酒井高徳(VfBシュツットガルト/ドイツ)が出場する。酒井高徳は左サイドバックに入り、駒野が右サイドへスライドした。終盤の87分には遠藤が退き、高橋秀人(FC東京)がピッチに立った。
「結果よりも重要な項目だったのが、選手のコンディションがどのようなところにあるのか、ということだった。試合を終えて私自身は満足しているし、サポーターの皆さんもフレッシュなメンバーが出たことで、喜んでくれていると思う」
試合後のザッケローニ監督はこう語り、自信に満ちた表情を浮かべた。
2014年のブラジルへ近づく過程では、『キリンチャレンジカップ』が重要な通過点となってきた。今回もまた、チームは確かな自信をつかんだに違いない。
■9月6日 東北電力ビッグスワンスタジアム
日本代表 [1-0] アラブ首長国連邦(UAE)代表
1) GK 川島 永嗣 2) DF 吉田 麻也 3) DF 伊野波 雅彦 4) DF 酒井 宏樹 5) FW ハーフナー・マイク 6) MF 本田 圭佑 7) MF 長谷部 誠 8) MF 遠藤 保仁 9) DF 駒野 友一 10) FW 清武 弘嗣 11) FW 香川 真司 |
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1) GK 川島 永嗣
2) DF 吉田 麻也
3) DF 伊野波 雅彦
4) DF 酒井 宏樹
5) FW ハーフナー・マイク
6) MF 本田 圭佑
7) MF 長谷部 誠
8) MF 遠藤 保仁
9) DF 駒野 友一
10) FW 清武 弘嗣
11) FW 香川 真司
<代表監督> アルベルト ザッケローニ
<出場選手>
■9月6日/東北電力ビッグスワンスタジアム
日本代表 (0) 1 | <ハーフナー・マイク> | |
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アラブ首長国連邦代表 (0) 0 | ||
日本 | ||
GK | 川島 | |
DF | 伊野波(水本) 駒野 酒井宏樹(酒井高徳) 吉田 | |
MF | 本田(中村) 遠藤(高橋) 長谷部(細貝) | |
FW | 清武 香川(岡崎) ハーフナー・マイク | |
アラブ首長国連邦 | ||
GK | アリ・ハセイフ | |
DF | アブドゥルアジズ・フサイン ハムダン・アルカマリ モハメド・アハマド オマル・アブドゥルラフマン ワリド・アッバス(ユーセフ・ジャベル) | |
MF | アメル・アブドゥルラフマン(ハビブ・ファルダン・アブドゥラ) ハミス・イスマイール ラシェド・エイサ(イスマイル・アルハンマディ) | |
FW | アハメド・ハリル(サイード・アルカシーリ) アリ・アハメド・マブフート |
*月日/場所
国名(前半得点)総得点<得点者>
*メンバー(交代メンバー)
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