アルベルト・ザッケローニ監督率いるSAMURAI BLUE(日本代表)が、およそ2カ月ぶりに活動を再開した。
8月15日、『キリンチャレンジカップ2012』が札幌ドームで開催され、日本代表がベネズエラ代表と対戦した。札幌ドームでの『キリンチャレンジカップ』開催は、昨年8月の韓国戦に続いて通算3度目だ。
今回の一戦は、9月に控える公式戦の重要な準備となる。このところ成長著しいベネズエラは、自分たちの力を確認するのに格好の相手だ。観戦チケットも前売りで完売となるなど、ファン・サポーターの注目度も高い。
日本の先発メンバーは、ここ最近の流れを汲んだものだった。GKには川島永嗣(スタンダール・リエージュ/ベルギー)が指名され、最終ラインは右から駒野友一(ジュビロ磐田)、吉田麻也(VVVフェンロ/オランダ)、伊野波雅彦(ヴィッセル神戸)、長友佑都(インテル・ミラノ/イタリア)で構成された。伊野波の先発出場は、アゼルバイジャンと対戦した5月の『キリンチャレンジカップ』以来となる。
ダブルボランチは遠藤保仁(ガンバ大阪)と長谷部誠(VfLヴォルフスブルク/ドイツ)が務め、2列目には右から岡崎慎司(VfBシュツットガルト/ドイツ)、本田圭佑(CSKAモスクワ/ロシア)、香川真司(マンチェスター・ユナイテッド/イングランド)の3人が並ぶ。1トップは前田遼一(ジュビロ磐田)だ。
序盤に決定機を許した日本が、攻撃に転じたのは7分だった。遠藤のスルーパスから駒野が右サイドを突く。ここから攻撃のエンジンが掛かり、14分に先制弾が生まれた。
遠藤−長谷部−本田とボールがつながり、駒野が右サイドを駆け上がる。対峙するDFを股抜きで置き去りにした駒野は、マイナスのクロスを中央へ。走り込んだ遠藤が、右足インサイドで鮮やかにネットを揺らした。
チーム最年長の32歳は、「自分が攻め上がるタイミングだった。いい形で決められた」と納得の表情を浮かべた。
その後も日本はベネズエラを攻めたてる。21分、遠藤の縦パスを岡崎がキープし、フォローした本田へつなぐ。背番号4は得意の左足を振り抜き、相手GKを脅かした。
33分にはペナルティエリア内でパスを受けた岡崎が、鋭い切り返しから左足でゴールを襲う。前線のプレーヤーが有機的に絡む日本の攻撃に、札幌ドームはしばしば歓声に包まれた。
後半開始とともに、ザッケローニ監督は伊野波に代わって水本裕貴を投入する。J1リーグで好調なサンフレッチェ広島所属の彼は、08年2月以来の国際Aマッチ出場だ。
ゲームの主導権は、引き続き日本が掌握した。60分、長友が左サイドを駆け上がり、ゴール前へクロスを供給する。飛び込んだ香川が頭で合わせたが、惜しくもゴール右へ逸れた。
60分に同点ゴールを喫すると、ザッケローニ監督がすぐに動く。62分、長谷部から細貝萌(バイヤー・レバークーゼン/ドイツ)へのスイッチだ。ボール奪取に秀でる細貝の登場が、中盤を引き締めていく。
64分、香川と本田のホットラインが相手守備陣を切り裂く。ペナルティエリア左へ走り込んだ本田の動き出しに合わせて、香川が絶妙なロングフィードを通す。ワンタッチでボールを収めた本田は、得意の左足から強烈な一撃を相手GKに見舞った。
74分、ザッケローニ監督が交代選手を送り出す。岡崎と前田が退き、藤本淳吾(名古屋グランパス)と中村憲剛(川崎フロンターレ)が登場する。藤本は2列目の右サイドに、中村はトップ下に入り、本田が1トップへポジションをあげた。
直後の75分、日本が決定的なシーンを作り出す。右サイドからのクロスがゴール前の香川にわたり、背番号10が左足で合わせる。相手GKは防げない。ボールを見送る。しかし、シュートはバーに嫌われてしまった。
後半終了間際の87分には、槙野智章(浦和レッズ)が駒野に代わって出場する。ザッケローニ監督は数多くの選手を起用し、そのうえでチームはいくつもの好機を作った。しかし、最終的な精度をわずかに欠き、1対1のまま終了のホイッスルを聞いた。
「1対1という結果はいいものではなかったですが、やろうとしていることにトライできた」とは、試合後の川島である。「得点チャンスを活かせなかった」と悔しさを表わした香川も、「もっともっとプレーの精度を上げて、9月のゲームではしっかり勝利したい」と決意を新たにした。
9月6日には新潟へ舞台を移し、今年最後の『キリンチャレンジカップ2012』が行なわれる。「1試合ずつ成長していって、自分たちの目標に到達できるようにしたい」という川島の言葉は、チーム全員の意思の表れと言っていいだろう。ザッケローニ監督のもとで、SAMURAI BLUEは着実に成長を遂げている。
■8月15日 札幌ドーム
日本代表 [1-1] ベネズエラ代表
1) GK 川島 永嗣 2) DF 吉田 麻也 3) FW 前田 遼一 4) DF 伊野波 雅彦 5) FW 岡崎 慎司 6) MF 本田 圭佑 7) MF 長谷部 誠 8) MF 遠藤 保仁 9) DF 駒野 友一 10) DF 長友 佑都 11) FW 香川 真司 |
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1) GK 川島 永嗣
2) DF 吉田 麻也
3) FW 前田 遼一
4) DF 伊野波 雅彦
5) FW 岡崎 慎司
6) MF 本田 圭佑
7) MF 長谷部 誠
8) MF 遠藤 保仁
9) DF 駒野 友一
10) DF 長友 佑都
11) FW 香川 真司
<代表監督> アルベルト ザッケローニ
<出場選手>
■8月15日/札幌ドーム
日本代表 (1) 1 | <遠藤保仁> | |
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ベネズエラ代表 (0) 1 | <ニコラス・フェドール> | |
日本 | ||
GK | 川島 | |
DF | 伊野波(水本) 駒野(槙野) 長友 吉田 | |
MF | 本田 遠藤 長谷部(細貝) | |
FW | 岡崎(藤本) 香川 前田(中村) | |
ベネズエラ | ||
GK | ダニエル・エルナンデス | |
DF | アンドレス・ホセ・トゥニェス ガブリエル・シチェロ ロベルト・ロサレス ロルフ・フェルツチェル アレクサンデル・ゴンサレス(フランク・フェルツチェル) | |
MF | フランシスコ・フローレス(ホセ・マヌエル・ベラスケス) アグネル・フローレス(フランクリン・ルセナ) ルイス・マヌエル・セイハス(ヨアンドリ・オロスコ) | |
FW | ニコラス・フェドール マリオ・ロンドン(ホセフ・マルティネス) |
*月日/場所
国名(前半得点)総得点<得点者>
*メンバー(交代メンバー)
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