なでしこジャパン(日本女子代表)にとって今年3度目となる『キリンチャレンジカップ2012』が、7月11日に国立競技場で開催された。
4月の『キリンチャレンジカップ2012』では、アメリカと1対1で引き分け、ブラジルに4対1で快勝している。今回もファン・サポーターの期待は大きく、平日にも関わらず続々と観衆が詰めかけた。
まだ日差しの照りつける17時10分にキックオフされたゲームは、キックオフとともになでしこジャパンが主導権を握る。3分、右サイドバック近賀ゆかり(INAC神戸レオネッサ)の縦パスに、2トップの一角を担う大儀見優季(1.FFCトリビューネ・ポツダム/ドイツ)が反応する。最終ラインの背後へ抜け出し、ダイレクトで右足シュートを放つ。この一撃はGKに阻まれたが、ここからなでしこジャパンの攻撃にエンジンがかかっていく。
8分、巧みなステップで右サイドを突破した川澄奈穂美(INAC神戸レオネッサ)のクロスに、宮間あや(岡山湯郷Belle)が飛び込む。12分、宮間の右CKを大儀見が頭で合わせる。日本のリズミカルなパスワークがオーストラリアを翻弄し、国立競技場が得点の予感に満ちていく。
先制点は25分に生まれた。宮間の左ショートコーナーを川澄が受けると、ペナルティエリア内で相手DFに倒される。すぐに主審はホイッスルを吹く。PKだ。キッカーの宮間は、右足インサイドで冷静にGKの逆を突いた。
1対0とリードしたことで、なでしこジャパンの勢いは加速していく。32分、敵陣からのフォアチェックでボールを奪った川澄が、そのまま持ち込んで右足を振り抜く。相手GKを襲った一撃が、右CKにつながる。
宮間が供給した右CKは、岩清水梓(日テレ・ベレーザ)がヘディングシュートを浴びせた。4月の『キリンチャレンジカップ2012』をケガで欠場したセンターバックの岩清水は、5試合ぶりの国際Aマッチ出場だ。
なでしこジャパンの絶え間ない攻撃は、前半ロスタイムの追加点へとつながった。45+1分、近賀の見事なクロスを、大儀見がスライディングシュートでプッシュする。「あの形になったら、あそこへ入れば点になると思っていた」と本人が話したように、狙いどおりの追加点である。
ハーフタイムを挟んで、佐々木則夫監督は3人の控え選手を投入する。GK福元美穂(岡山湯郷Belle)が退き、海堀あゆみ(INAC神戸レオネッサ)がゴールマウスに立つ。ケガ明けの岩清水に代わって矢野喬子(浦和レッズレディース)が起用され、安藤梢(FCR2001デュイスブルク/ドイツ)から大野忍(INAC神戸レオネッサ)へスイッチされた。
これに伴い、最終ラインは左から鮫島彩(ベガルタ仙台レディース)、矢野、熊谷紗希(1.FFCフランクフルト/ドイツ)、近賀の並びとなった。澤穂希(INAC神戸レオネッサ)と阪口夢穂(日テレ・ベレーザ)のダブルボランチは変わらず、2列目の右に大野、左に宮間が入る。大儀見と2トップを組んでいた安藤に代わり、前半はサイドでプレーした川澄が前線へポジションを移した。
選手が入れ替わっても、チームのクオリティが低下することはない。なでしこジャパンは後半も、ゲームのイニシアチブを掌握する。
勝利を決定づける3点目は、58分に生まれた。宮間の左CKがゴール前に混戦を誘い、ファーサイドの熊谷を経由したボールが澤へわたる。チーム最年長の33歳は、右足ボレーで鮮やかにネットを揺らした。
国際Aマッチでの得点は、昨年7月17日のアメリカ戦以来、ほぼ1年ぶりだ。「久しぶりなので嬉しかった。みんなが集まってきてくれたのも良かったです」と、試合後の澤は爽やかな笑みを浮かべた。
直後の59分、その澤に代わって田中明日菜(INAC神戸レオネッサ)が起用される。『キリンチャレンジカップ2012』では6人まで交代選手が認められているため、佐々木監督はその後も積極的に選手を入れ替えていく。72分には丸山桂里奈(スペランツァFC大阪高槻)、76分には髙瀬愛実(INAC神戸レオネッサ)が投入され、攻撃を活性化した。
オーストラリア女子代表に15本のシュートを浴びせたなでしこジャパンは、攻守にスキのない内容で3対0と快勝した。佐々木監督は「オーストラリアは一人ひとりの質が高い。試合のイニシアチブが取れたのは良かったと思います」と語り、チームのパフォーマンスに及第点を与えた。
およそ2週間後に迫った“世界との遭遇”へ向け、なでしこジャパンは順調な仕上がりを印象づけた。4年越しの夢舞台が、なでしこジャパンを待っている。
■7月11日 国立競技場
日本女子代表 [3-0] オーストラリア女子代表
1) MF 澤 穂希 2) FW 安藤 梢 3) DF 熊谷 紗希 4) MF 阪口 夢穂 5) GK 福元 美穂 6) FW 大儀見 優季 7) MF 宮間 あや 8) DF 近賀 ゆかり 9) MF 川澄 奈穂美 10) DF 鮫島 彩 11) DF 岩清水 梓 |
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1) MF 澤 穂希
2) FW 安藤 梢
3) DF 熊谷 紗希
4) MF 阪口 夢穂
5) GK 福元 美穂
6) FW 大儀見 優季
7) MF 宮間 あや
8) DF 近賀 ゆかり
9) MF 川澄 奈穂美
10) DF 鮫島 彩
11) DF 岩清水 梓
<代表監督> 佐々木 則夫
<出場選手>
■7月11日/国立競技場
日本女子代表 (2) 3 | <宮間あや 大儀見優季 澤穂希> | |
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オーストラリア女子代表 (0) 0 | ||
日本 | ||
GK | 福元(海堀) | |
DF | 近賀 岩清水(矢野) 鮫島 熊谷 | |
MF | 澤(田中) 宮間(髙瀬) 川澄 阪口 | |
FW | 安藤(大野) 大儀見(丸山) | |
オーストラリア | ||
GK | メリッサ・バービエリ | |
DF | ダニエレ・ブロガン ステファニー・カトリー セア・スレッチャー(ローラ・アレウェイ) サーベト・ウズンラー | |
MF | タメカ・バット(サラ・ウォルシュ) ケートリン・フォード(テイゲン・アレン) アランナ・ケネディ(カトリナ・ゴリー) | |
FW | アシュリー・ブラウン(ブルック・スペンス) キャスリン・ギル(エミリー・ギールニク) |
*月日/場所
国名(前半得点)総得点<得点者>
*メンバー(交代メンバー)
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