超満員6万5千人が沸騰!
欧州の強豪チェコを追い詰めた!
SAMURAI BLUE(日本代表)対ペルー代表との第1戦から6日後の6月7日、『キリンカップサッカー2011』の第3戦が横浜国際総合競技場で開催された。
優勝を賭けた大一番である。6月4日のペルー対チェコ戦が0−0のスコアレスドローに終わったため、2試合を終えてペルーが勝点2、日本とチェコは勝点1となっている。第3戦で勝った国が、高さ75センチ、重さ約10キロの純銀製のトロフィーを手にすることができるのだ。
大会4連覇を目ざす日本は、ペルー戦の前半にトライした3−4−3のシステムで臨んだ。
最終ラインの右サイドには、キリンカップ初出場となる吉田麻也(VVVフェンロ/オランダ)が起用され、今野泰幸(FC東京)、伊野波雅彦(鹿島アントラーズ)と3バックを形成する。中盤の両翼は長友佑都(インテル・ミラノ/イタリア)と内田篤人(FCシャルケ04/ドイツ)だ。第1戦に出場しなかった内田は、09年以来の『キリンカップサッカー』出場となる。両サイドで数的優位を作り出すシステムを、欧州で力をつけた二人が力強く支える。
また、3トップ中央には李忠成(サンフレッチェ広島)が指名された。代表通算4試合で初めてのスタメン出場だ。1月のAFCアジアカップ2011カタールで一気に評価を高めたストライカーの出来も、この試合を左右するだろう。
6万5千人を越える大観衆が最初に沸いたのは、キックオフ直後の余韻がさめた11分だった。川島永嗣(リールセ/ベルギー)のゴールキックをしっかりと保持した本田圭佑(CSKAモスクワ/ロシア)が、そのままドリブルで持ち込む。相手守備陣のファウルを誘う。直接FKだ。世界最高クラスと言われるGKチェフと本田が、いきなり対峙することになったのだ。この一撃はカベに阻まれたが、直後の12分に長谷部誠(VfLヴォルフスブルク/ドイツ)が見せ場を作る。本田のパスカットからドリブルで持ち込み、ペナルティエリア手前から右足を振り抜く。鋭い一撃がチェフを脅かした。
李と岡崎慎司(VfBシュツットガルト/ドイツ)が前線でボールを引き出し、両サイドから長友と内田が突破をうかがう日本に対して、長身DFを揃えたチェコは堅固な守備組織で対抗する。日本が攻め、チェコがしのぐという構図で、試合は進んでいく。
35分には決定的なシーンが生まれる。ゴールほぼ正面の直接FKを、遠藤保仁(ガンバ大阪)が右足で狙う。ゴール右上スミを狙った一撃は、チェフの好セーブに阻まれた。
後半開始直後にも、リスタートから好機を作り出す。52分、遠藤のショートコーナーから本田がペナルティエリア左サイドでタテへ抜け出し、ファーポストへクロスを送る。李が送り返したボールに吉田が反応する。しかし、至近距離からのヘディングシュートは惜しくもバーを越えていった。
58分には長友が魅せる。左サイドの1対1から内側へカットインし、思い切りの良い右足シュートを放った。
直後の61分にも、際どいシーンが訪れる。遠藤−本田−長友とテンポ良くパスがつながり、ゴール前の李へグラウンダーのラストパスが入る。本田の走り込みに合わせて李がボールを落とすが、わずかにタイミングが噛み合わなかった。
アルベルト・ザッケローニ監督が動いたのは64分だ。遠藤に代わって家長昭博(RCDマジョルカ/スペイン)が、伊野波に代わって槙野智章(1FCケルン/ドイツ)が起用される。家長は2007年3月の『キリンチャレンジカップ』以来のインターナショナルAマッチ出場で、槙野は昨年10月の『キリンチャレンジカップ』以来だ。
チェコの活動量が徐々に低下してきたタイミングでの選手交代は、攻撃を活性化させた。後半は中央でのプレーを増やした本田の存在も、相手の脅威となっている。
そして、この試合最大のチャンスを迎える。77分、長友のクロスはDFに跳ね返されるが、クリアボールは本田へわたる。相手守備陣の背後に動き直した岡崎へ、本田がピンポイントのクロスを供給する。岡崎のヘディングシュートがチェフを襲う。辛うじて弾き出されたボールを、李が素早く押し込もうとする。しかし、チェフが信じられない反応でボールを弾き出す。歓声をため息が追いかける。鮮やかな波状攻撃だったが、得点を奪うことはできなかった。
終盤は本田が立て続けに直接FKからゴールを狙うが、ワクをとらえることができない。ペルー戦を上回る11本のシュートを記録したものの、0−0で終了のホイッスルを聞くこととなった。
最終的に3か国が勝点で並び、得失点差、総得点、当該チームの成績も同じということで、史上初めて3か国が優勝を分け合うことになった。
単独優勝はならなかったものの、日本にとっては実りある大会だっただろう。
「選手の出来には満足している。今日の試合については、相手GKも称賛しなければならない。このシステムはバリエーションのひとつだが、ペルー戦に比べて良くなっている。まだまた良くなる可能性も秘めている」
試合後のザッケローニ監督は、最後まで勝利を目ざした選手を讃えた。ペルー戦に続くテストとなった3−4−3にも満足感を示した。オプションの習熟度を高め、チーム全体の底上げをはかるという目的は達成されたのだ。指揮官の言葉には、確かな説得力がある。
次なる強化の機会は、8月10日に開催される『キリンチャレンジカップ2011』となる。今回の『キリンカップサッカー』における成果は、韓国代表を迎え撃つこの一戦で、改めて確認できるに違いない。
■6月7日 日産スタジアム
日本代表 [0-0] チェコ代表
1) GK 川島 永嗣 2) DF 吉田 麻也 3) DF 伊野波 雅彦 4) FW 李 忠成 5) MF 遠藤 保仁 6) FW 本田 圭佑 7) DF 長友 佑都 8) FW 岡崎 慎司 9) DF 内田 篤人 10) DF 今野 泰幸 11) MF 長谷部 誠 |
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1) GK 川島 永嗣
2) DF 吉田 麻也
3) DF 伊野波 雅彦
4) FW 李 忠成
5) MF 遠藤 保仁
6) FW 本田 圭佑
7) DF 長友 佑都
8) FW 岡崎 慎司
9) DF 内田 篤人
10) DF 今野 泰幸
11) MF 長谷部 誠
<代表監督> アルベルト ザッケローニ
<出場選手>
■6月7日/日産スタジアム
日本代表 (0) 0 | ||
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チェコ代表 (0) 0 | ||
日本 | ||
GK | 川島 | |
DF | 伊野波(槙野) 長友 内田 今野 吉田 | |
MF | 遠藤(家長) 長谷部 | |
FW | 岡崎(関口) 本田 李 | |
チェコ | ||
GK | ペトル・チェフ | |
DF | ミハル・カドレツ ヤン・ライノフ ロマン・フブニク トマーシュ・シボク(セオドル・ゲブレ・セラシエ) | |
MF | ダニエル・コラージ ミラン・ペトルジェラ(バツラフ・ピラジ) カミル・バチェク | |
FW | マルティン・フェニン(トマーシュ・ネチド) ヤン・レゼク(ペトル・ヤンダ) ダビド・ラファタ(ミハル・フブニク) |
*月日/場所
国名(前半得点)総得点<得点者>
*メンバー(交代メンバー)
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