キリンチャレンジカップサッカー2007
2月21日 U-22日本代表×U-22アメリカ代表
勝負の一年が幕を開けた。
北京オリンピック2次予選を一週間後に控えた2月21日、U-22日本代表が『キリンチャレンジカップ2007〜ALL FOR 2010 !〜』に臨んだ。U-22アメリカ代表を合宿地の熊本に迎えた、香港戦への重要なシミュレーションである。
2007年初めてとなるゲームで、反町康治監督は3-4-3の攻撃的な布陣を選んだ。平山相太(FC東京)を頂点に、左に李忠成(柏)、右にカレン ロバート(磐田)を配する3トップだ。李は2月9日に韓国からの帰化申請が認められたばかりで、この試合が初めての出場となる。
キックオフからわずか2分、平山がいきなりスタンドを沸かせる。前線へのロングボールを相手DFがクリアすると、そのまま左足を振り抜く。鋭い弾道のミドルシュートが、GKを襲った。
9分、またも平山が鋭い動きを見せる。FC東京の僚友・梶山陽平のスルーパスをオフサイドぎりぎりで受け、GKとの1対1へ持ち込む。しかし、狙いすましたシュートはまたもGKに弾かれてしまった。
3トップにボールをあずけ、前線に起点を作り出すことで、日本の攻めは後方からの押し上げもスムーズになっていく。14分には李忠成の落としたボールを梶山が受け、ドリブルで持ち込んでフィニッシュへ。鋭い切り返しから右足で放ったシュートが、ここでも相手GKを慌てさせた。
22分過ぎには、連続してCKのチャンスを得る。3本目の右CKではカレンがフリーでヘディングシュートを浴びせたが、GKの正面を突いてしまった。
30分過ぎまでは日本のワンサイドゲームと言ってもいい内容だったが、前半の残り15分はアメリカがペースを握った。「この仲間で戦うのは初めてで、このレベルでプレーするのが初めての選手も多かったが、そこからようやく慣れてきた」というボブ・ブラッドリー監督の言葉どおり、スピード豊かな攻撃を繰り出していく。「間延びをしてボランチと最終ラインの間にスペースができてしまった」(青山直晃)ことも、試合のリズムが変化した原因にあげられる。とはいえ、日本の守備陣に乱れはなく、0-0でハーフタイムを迎えた。
後半開始とともに、アメリカは右サイドにサルバトーレ・ジッゾを投入する。U-20代表でもあるこの19歳のFWが、日本の左サイドに問題を生じさせた。左アウトサイドの本田圭佑(名古屋)が守備に引っ張られ、攻撃にうまく絡めなくなってしまうのである。60分の増田誓志(鹿島)の投入は、中盤のボール支配率を上げる狙いがあっただろう。
それでも63分、本田の直接FKがビッグチャンスを生み出す。鮮やかな弧を描いたボールを、平山がひと際高い打点で合わせる。文句なしのヘディングシュートだったのだが、シュートはクロスバーに阻まれてしまった。
ここから反町監督は、控え選手を相次いで投入する。72分、本田と李を下げて、家長昭博(G大阪)と苔口卓也(C大阪)を送り出す。77分には本田拓也(法大)から谷口博之(川崎F)へスイッチし、中盤の攻撃力をさらに高めていく。
見せ場が訪れたのは80分だ。右サイドから持ち込んだ水野晃樹(千葉)が、DFのタックルに持ちこたえて突進する。右足のシュートはGKのセーブを許さなかったが、惜しくも左ポストに嫌われてしまった。
「非常に手応えを感じたゲームだったですし、非常に強い相手とゲームをすることができて良かったと思います」
試合後の記者会見で、反町監督はまずこう切り出した。「課題もたくさん出た。とくにディフェンスの部分」とも語り、香港戦への修正ポイントが明確になったことを評価している。
14本のシュートを放ちながら無得点に終わったのは、多少なりともストレスを感じさせるものだったかもしれない。ただ、「みんなまだ、90分できる身体じゃない。シーズン前なのでピークに持っていっていない」とカレンが明かしたように、Jリーグ開幕前ということを考えれば内容的には評価できる。実戦では初めてのトライだった3トップにしても、「すごくやりやすかったです」と、李は好感触をつかんでいた。
実戦で課題を整理し、次の試合につなげていくことにテストマッチの意義はある。そう考えれば、今回の『キリンチャレンジカップ2007〜ALL FOR 2010 !〜』は、北京オリンピックへの確かな助走となったことだろう。
[文: 戸塚啓]
■2月21日 熊本県・熊本県民総合運動公園陸上競技場 (KKWING)
U-22日本代表 [0ー0] U-22アメリカ代表
1) GK 松井謙弥 2) FW カレンロバート 3) DF 青山直晃 4) MF 梶山陽平 5) FW 平山相太 6) FW 李忠成 7) MF 本田拓也 8) MF 水野晃樹 9) MF 本田圭佑 10) DF 伊野波雅彦 11) DF 水本裕貴 |
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1) GK 松井謙弥
2) FW カレンロバート
3) DF 青山直晃
4) MF 梶山陽平
5) FW 平山相太
6) FW 李忠成
7) MF 本田拓也
8) MF 水野晃樹
9) MF 本田圭佑
10) DF 伊野波雅彦
11) DF 水本裕貴
<代表監督> 反町康治
<出場選手>
■2月21日/熊本県・熊本県民総合運動公園陸上競技場 (KKWING)
日本代表 (0) 0 | ||
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U-22アメリカ代表 (0) 0 | ||
日本 | ||
GK | 松井 | |
DF | 青山 伊野波 水本 | |
MF | 梶山 本田拓(谷口) 水野 本田圭(家長) | |
FW | カレン(増田) 平山(森島) 李(苔口) | |
アメリカ | ||
GK | サイツ | |
DF | バレンティノ スタージス ワード フランクリン | |
MF | カーク(ジッゾ) ローリー アルバレス クリスタン | |
FW | ワトソン(ハリントン) クリストマン(ピーターソン) |
*月日/場所
国名(前半得点)総得点<得点者>
*メンバー(交代メンバー)
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