キリンチャレンジカップサッカー2006
10月4日 日本代表×ガーナ代表
オシム監督就任後の5試合目となった『キリンチャレンジカップ2006』は、これまでよりワンランク上の強豪を迎えることとなった。6月のドイツW杯で決勝トーナメントに進出したガーナが、最強メンバーを揃えて来日したのである。
対して日本は、メンバーの変更を迫られていた。過去4試合でディフェンスラインの中心だった闘莉王と坪井(ともに浦和)が、ケガのために招集されなかったのである。
しかし、オシム監督に戸惑いや迷いはなかった。かねてより「ガーナ戦は若い選手を起用するいい機会だ」と話していた指揮官は、3-4-3とも3-6-1ともとれるフォーメーションのなかに、2人の初代表選手を送り出していた。水本裕貴と山岸智(ともに千葉)である。また、すでに国際Aマッチ出場実績のある今野泰幸(FC東京)が、オシム監督のもとで初めて起用された。
最初にチャンスをつかんだのは日本だ。
3分、右アウトサイドの駒野友一(広島)のスルーパスから、巻誠一郎(千葉)が抜け出す。オフサイドはない。巻のシュートがGKの右側をすり抜けていく。しかし、ゴールカバーに入ったDFがシュートをかき出した。
その後も日本は、落ち着いてゲームを運んでいく。ガーナの攻撃は強い圧力を感じさせるものだったが、自陣から確実にビルドアップしていく場面も。チームが成長していることがうかがえた。
2度目のチャンスは16分。三都主アレサンドロ(浦和)のタイミングのいいクロスに、ゴール前の巻が反応する。DFに競り勝ったヘディングシュートは、しかし、バーを越えていった。
ガーナも負けていない。21分、パスを受けた今野にプレッシャーをかけたアゴゴが、パスカットに成功する。ドリブルで持ち込み、丁寧なラストパスをゴール前へ。走り込んだジャンは日本DFのチェックを回避したが、シュートはGK川口能活(磐田)の正面を突いた。
攻撃に人数をかけるガーナは、その代償として自陣に危険なスペースを持つことがあった。オフサイドトラップでリスクマネジメントをしていたが、うまく背後を抜ければ一気にチャンスは拡がる。日本の狙いもそこにあった。
36分、駒野がDFとの1対1をマタ抜きで制し、右サイドからフリーで侵入する。右足を力強く振り抜いたシュートは、惜しくもGKに阻まれてしまった。
さらに44分、2列目からの飛び出しがガーナを慌てさせる。今野のフィードを巻がダイレクトで落とし、佐藤寿人(広島)がDFラインの背後へスルーパスを通す。そこへ、遠藤保仁(ガンバ大阪)がタイミングよく飛び出してきた。後半への期待を抱かせるプレーとともに、日本は前半を終えた。
後半はより活発な攻め合いとなる。日本はダイレクトのパス交換で相手守備陣の背後を突く。ガーナはリスタートに活路を見出す。
55分、佐藤のクロスに山岸が飛び込むが、ジャストミートできなかったシュートは左ポストを叩いた。
60分、アッピアの直接FKがゴール左を襲うが、川口が鋭い反応で弾き出した。
60分を過ぎると、両監督の動きも活発になる。オシム監督は63分に羽生直剛(千葉)、67分に初代表の播戸竜二(ガンバ大阪)、72分に我那覇和樹(川崎F)を相次いで投入し、攻撃の活性化を図る。ガーナのクロード・ルロワ監督も、67分に攻撃の選手を2人入れ替える。そして、ガーナが先制点を奪った。
途中出場のピンポンが右サイドを突破し、やはり交代選手のハミヌがニアサイドへのクロスをダイレクトで合わせたのである。ピンポンに対応していた水本は、「クロスを入れさせないように、もっと寄せなければいけなかった」と悔やんだ。
ビハインドを背負った日本は、さらに3人の選手交代をするなどして攻撃に変化をつけていく。しかし、先制したガーナがしっかりとゲームを膠着させたこともあり、得点を奪うことはできなかった。オシム監督就任後5試合で、初めての無得点に終わった。
もちろん、負けたからといって収穫がなかったわけではない。
「結果はついてこなかったですが、僕は、正直、やっていて楽しかった。できた部分とできない部分が、世界相手、アフリカ相手に分かったと思う。僕自身は貴重な経験をしたし、チャレンジする意味では意味のあるゲームだった」
鈴木啓太(浦和)はこう語った。彼の言葉は、チーム全体に共通するものだったと言っていい。これまでとは明らかにレベルの違うガーナとの遭遇は、選手たちの成長を促す価値ある経験となるだろう。そこに今回の『キリンチャレンジカップ2006』を開催した意義がある。
[文: 戸塚啓]
■10月4日 神奈川・横浜国際総合競技場(日産スタジアム)
日本代表 [0ー1] ガーナ代表
1) MF 遠藤保仁 2) FW 巻誠一郎 3) MF 三都主アレサンドロ 4) DF 今野泰幸 5) DF 水本裕貴 6) GK 川口能活 7) MF 山岸智 8) MF 鈴木啓太 9) MF 駒野友一 10) DF 阿部勇樹 11) FW 佐藤寿人 |
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1) MF 遠藤保仁
2) FW 巻誠一郎
3) MF 三都主アレサンドロ
4) DF 今野泰幸
5) DF 水本裕貴
6) GK 川口能活
7) MF 山岸智
8) MF 鈴木啓太
9) MF 駒野友一
10) DF 阿部勇樹
11) FW 佐藤寿人
<代表監督> オシム
<出場選手>
■10月4日/神奈川・横浜国際総合競技場(日産スタジアム)
日本代表 (0) 0 | ||
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ガーナ代表 (0) 1 | <ハミヌ> | |
日本 | ||
GK | 川口 | |
DF | 水本 阿部 今野 | |
MF | 三都主(二川) 駒野 遠藤(中村) 鈴木(長谷部) 山岸(播戸) | |
FW | 巻(我那覇) 佐藤(羽生) | |
ガーナ | ||
GK | キングソン | |
DF | サルペイ イリアス メンサー モハメド | |
MF | キングストン アッピア エシアン ムンタリ(ハミヌ) | |
FW | アゴゴ ギャン(ピンポン) |
*月日/場所
国名(前半得点)総得点<得点者>
*メンバー(交代メンバー)
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