キリンチャレンジカップ2006
2月18日 日本代表×フィンランド代表
いよいよ、ワールドカップイヤーが幕を開けた。日本代表は1月下旬の宮崎合宿で身体作りを行ない、2月10日にはアウェーでアメリカ代表と対戦した。
そして2月18日、今年初のホームゲームである<キリンチャレンジカップ2006>に、フィンランド代表を迎えたのである。静岡スタジアムでのゲームは、04年8月のアルゼンチン戦以来だ。
宮崎合宿から活動しているのは、欧州のクラブに所属する選手たちを除いたチームだ。しかしながら、1月に古巣の浦和レッズに復帰した小野伸二がさっそく合流し、度重なる故障に悩まされてきた久保竜彦が帰って来た。さらにレッズの天皇杯優勝に貢献した長谷部誠、昨季のJ1で日本人最多得点を記録した佐藤寿人らのニューカマーも加わり、チームはにわかに活気づいている。もちろん、競争意識が高いのは言うまでもない。
アメリカ代表戦は久保を1トップとした3-6-1が試されたが、この日は久保と巻誠一郎の2トップとなった。慣れ親しんだ3-5-2のシステムで小野が福西崇史とダブルボランチを組み、坪井慶介や村井慎二らが先発出場のチャンスを得た。
アメリカ戦よりコンディションのいい日本は、申し分のないゲームの入り方をする。10分を過ぎたあたりからは、はっきりとゲームを支配した。加地亮と村井の両アウトサイドが高い位置をキープすることで、3-5-2システムの特性が生かされている。
ただ、両サイドから供給されるクロスが、シュートにつながる場面は少なかった。
仮想オーストラリアとなる平均身長183センチの高さは、日本の攻撃にブレーキをかけるカベとなっていた。ほとんどの時間を敵陣で過ごしながらも、前半のシュートはわずか2本だったのである。
「前半は焦りもあったのか、なかなかタイミングが合わず、惜しいチャンスを逃してしまった」
ジーコ監督もこう振り返っていた。
前半最大のチャンスは41分だった。小野のロングパスに合わせて走り出した加地が、ペナルティエリア右でボールを胸に収める。「巻の動きも見えたし、シュートコースもなかったような気がしたので」と言う加地は、シュートではなくパスを選択した。だが、DF2人に挟まれながら滑り込んだ巻が、シュートを打つことはできなかった。
ハーフタイムを挟んだ後半開始直後、4万人を越える観衆がついに沸き上がる。待望の先取点が生まれたのだ。
右サイド深くでスローインを得た日本は、加地がタテへボールを入れる。うまくスペースを突いた小笠原は、ニアサイドへグラウンダーのクロスを送った。
ここに飛び込んできたのが久保だった。左足インサイドでしっかり捕らえたボールは、相手GKカベンに反応を許さないファインゴールである。久保にとっては、04年6月のインド戦以来のゴールだった。
静岡スタジアムがさらなるどよめきに包まれたのが、先制点から9分後の57分だ。
中澤祐二からパスを受けた小笠原満男が、ハーフライン手前から超ロングシュートを放ったのだ。大きな放物線を描いたボールは、背走するGKの頭上を越えてゴールネットを揺らしたのである。
60メートルはあろうかという一撃は、決して偶然ではない。小笠原は「狙ってました」と振り返った。
「試合前にGKが出てくるから狙ってみろ、とジーコに言われていた」と、指揮官から指示もあったことを明かした。
これで完全に勝利の可能性を失ったフィンランドは、この試合のテーマを選手に経験を積ませることに切り替えた。ロイ・ホジソン監督は、GKを除く控え選手をすべて起用した。
日本も三都主アレサンドロ、佐藤寿人、駒野友一、本山雅志が出場し、限られた出場時間のなかで懸命のアピールに務めた。とくに79分に決定機をつかんだ佐藤は「決めないといけないですね」と、初ゴールを逃したことを悔やんだ。
「後半はボールが回りだして、FWが前でボールを引き出して、そこで落としたボールをフォローした選手がもらうような動きが出てきてた。確実に点が取れるような形ができていた」
試合後のジーコ監督は、06年初勝利に満足そうな表情を浮かべた。<キリンチャレンジカップ2006>でつかんだ手応えは、2月22日のインド戦、同28日のボスニア・ヘルツェゴビナ戦につながっていくだろう。ひいては、ワールドカップにも。
<ドイツ>への確かな一歩が、<キリンチャレンジカップ2006>から刻まれた。
[文: 戸塚啓]
■2月18日 静岡スタジアム エコパ
日本代表 [2ー0] フィンランド代表
1) MF 福西崇史 2) FW 久保竜彦 3) DF 中澤佑二 4) FW 巻誠一郎 5) MF 村井慎二 6) GK 川口能活 7) DF 坪井慶介 8) MF 小野伸二 9) MF 加地亮 10) MF 小笠原満男 11) DF 宮本恒靖 |
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1) MF 福西崇史
2) FW 久保竜彦
3) DF 中澤佑二
4) FW 巻誠一郎
5) MF 村井慎二
6) GK 川口能活
7) DF 坪井慶介
8) MF 小野伸二
9) MF 加地亮
10) MF 小笠原満男
11) DF 宮本恒靖
<代表監督> ジーコ
<出場選手>
■2月18日/静岡スタジアム エコパ
日本代表 (0) 2 | <久保><小笠原> | |
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フィンランド代表 (0) 0 | ||
日本 | ||
GK | 川口 | |
DF | 宮本 坪井 中澤 | |
MF | 小笠原 福西 小野 加地(駒野) 村井(三都主) | |
FW | 久保(本山) 巻(佐藤) | |
フィンランド | ||
GK | カベン | |
DF | クイバスト パソヤ(サウソ) カリオ ニマン | |
MF | イロラ(ウーシマキ) ハーパラ(カンガスコルピ) ラゲルブロム | |
FW | フースコ(タイパレ) ショルンド(クヤラ) アルキブオ(ランピ) |
*月日/場所
国名(前半得点)総得点<得点者>
*メンバー(交代メンバー)
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