キリンチャレンジカップ2002
11月20日 日本代表×アルゼンチン代表
2002年11月20日、<キリンチャレンジカップ2002 −Go for 2006!−>対アルゼンチン戦が、埼玉スタジアム2002にて行われた。南米の強豪を迎えての注目の一戦。この試合を見るために集まった観客は6万1816人。冬の寒空の下、緑のピッチ上で繰り広げられた熱い戦いに、この夜も大きな声援が鳴りやむことはなかった。
アルゼンチン代表はベストといえるメンバーを揃え、不振に終わった6月の名誉挽回を狙う新たなスタートへの決意がうかがえた。登録されていたリケルメ、アイマールを負傷で欠くものの、ベロン、クレスポをはじめとするそうそうたる顔ぶれが来日。多くの選手が欧州のトップクラブで活躍するアルゼンチン。その豪華な才能が集結し、この一戦に臨む。
そのアルゼンチン代表を迎える日本は、11月16日に最愛の母を亡くしブラジルに急きょ帰国しているジーコ監督に代わり、山本コーチが監督代行を務める。日本代表はジーコ監督の母マチウデさん(享年83歳)に哀悼の意を表し、喪章をつけての一戦となった。
日本のフォーメーションは4-4-2。欧州でプレーする中田英、小野、稲本の招集を見合わせたため、前回のジャマイカ戦で注目を集めた「黄金の4人」の中では中村のみが参戦。小笠原、中田浩、福西とともに中盤を構成する。ツートップにはJリーグで好調の高原と、ベルギーリーグ・ゲンクで奮闘を続けている鈴木。4バックは左から、およそ2年ぶりの代表復帰の中西、この日キャプテンマークを巻いた松田に秋田と名良橋の鹿島コンビという布陣。
日本の攻撃は中村を中心に、小笠原、福西らが中盤でシンプルにボールをさばき、前線では高原、鈴木が健闘し、何度かチャンスをつくった。
19分には相手DFのクリアボールに、名良橋が右足で強烈なダイレクトシュートを放つ。このボールが前線の高原の足元に収まり、決定的なチャンスとなったが、高原のシュートは惜しくもゴール左に外れた。一方、フィジカルの強さを随所にみせる鈴木も、力強い突破で好機を作る。
日本のペースが続き、試合を優位に進める手応えをつかんだかに見えたが、前半も30分を過ぎるあたりからアルゼンチンが徐々にその牙をむき始める。
右サイドをドリブルで深くえぐるオルテガや、スペースを見逃さず侵入する左サイドのソリンの動きが機能しはじめると、「魔法使い」の異名を取るベロンが、長短織り交ぜた絶妙なパスを、クレスポらに供給する。しかし、日本DF陣はこれに冷静に対処。GK楢崎の好セーブもあり、得点を許さない。
前半は両チームともネットをゆらすことは出来なかったが、詰めかけたサポーターに見応えある攻防を見せた。
試合は、後半早々に動いた。どちらもメンバー交代をせずに臨んだ後半2分。アルゼンチンのFKの場面で、ベロンの狡猾なフェイクに注意を削がれた日本は、オルテガの折り返しをフリーにしてしまったソリンに決められ、先制を許す。
続く4分にも、フィールド中央のベロンからやはりオルテガにつなぎ、そのオルテガの正確なセンタリングにクレスポが打点の高いヘディングシュートで合わせる。これがゴール右に豪快に決まり、0-2。
日本選手が集中を切らしたわずかなスキを見逃さないアルゼンチンの素早い攻撃の前に、わずか数分であっさりと2点を失ってしまう。
日本は後半9分、鈴木に代え中山を投入。後方からのロングフィードに高さで競り勝つ中山が、前線での起点となり、高原との息のあったプレーで、局面の打開をはかる。
その後、中村に代わった三都主も積極的にボールにからみ、得意のドリブルやフリーキックでアルゼンチンゴールを脅かすが、得点にはいたらない。
日本は最後まで攻めの姿勢を失わず、終盤に入っても高原、中山、中田浩がチャンスを作り出すものの、あと一歩のところで決めることができなかった。
結局、日本はアルゼンチンを上回る数のシュートを放ちながらも得点を奪えず、試合は0-2のまま終了。新生・ジーコジャパンは2試合目で監督不在のなか初黒星を喫し、通算1分1敗。この敗戦で、日本の対アルゼンチン戦通算成績は4戦全敗となった。
格上のアルゼンチンと前半はスコアレスで終わったが、後半開始直後の数分間で2点を失った。前半でつかんだ手応えが、後半開始早々の集中力不足で立て続けに失点を許した事で、ゲーム開始直後の集中が大切なことをより一層際立たせる格好となった。
2006年への道のりはまだ始まったばかりだ。アルゼンチンという世界屈指の強国相手に、積極的な試合運びで立ち向かった経験を糧に、さらなる高みへ向けて挑戦を続ける日本代表への期待は高まる。
[文: 戸塚啓]
■11月20日 埼玉・埼玉スタジアム2002
日本代表 [0ー2] アルゼンチン代表
1) FW 鈴木隆行 2) MF 福西崇史 3) DF 松田直樹 4) GK 楢崎正剛 5) MF 中田浩二 6) MF 中村俊輔 7) MF 小笠原満男 8) FW 高原直泰 9) DF 秋田豊 10) DF 中西永輔 11) DF 名良橋晃 |
-
1) FW 鈴木隆行
2) MF 福西崇史
3) DF 松田直樹
4) GK 楢崎正剛
5) MF 中田浩二
6) MF 中村俊輔
7) MF 小笠原満男
8) FW 高原直泰
9) DF 秋田豊
10) DF 中西永輔
11) DF 名良橋晃
<代表監督> 山本監督代行
<出場選手>
■11月20日/埼玉・埼玉スタジアム2002
日本代表 (0) 0 | ||
---|---|---|
アルゼンチン代表 (0) 2 | <ソリン、クレスポ> | |
日本 | ||
GK | 楢崎 | |
DF | 秋田 名良橋(山田) 中西 松田 | |
MF | 中村(三都主) 福西 中田 小笠原(遠藤) | |
FW | 鈴木(中山) 高原 | |
アルゼンチン | ||
GK | カバジェロ | |
DF | アジャラ サネッティ キロガ(ポチェッティーノ) サムエル | |
MF | アルメイダ ベロン ソリン | |
FW | オルテガ(サビオラ) ロペス(ゴンサレス) クレスポ(ソラリ) |
*月日/場所
国名(前半得点)総得点<得点者>
*メンバー(交代メンバー)
過去の試合レポートを見る | 過去の試合レポート |
---|