『未到の地』へのステップ—世界に対する守備の確立

　フランスワールドカップ本大会を6月に控えた日本代表にとって、「キリンカ ップサッカー'98」は最終テストの場となった。岡田武史監督はパラグアイを「仮想アルゼンチン」、チェコを「仮想クロアチア」と見なし、本番用の3バックを初めて披露した。
　 東京・国立で行われたパラグアイ戦の3バックは井原正巳、秋田豊、中西永輔。前半7分にコーナーキックからアジャラにゴールを許した以外は、3バックが相手2トップを巧みに止め、守備には合格点が与えられた。しかし得点力不足は深刻で、2トップの城彰二、 中山雅史はゴールチャンスを作れない。このまま試合終了かと思われた後半41分、相馬直樹がＦＫから抜け出して、マリーシア（ずる賢さ） 十分のゴールを挙げ、何とか同点で試合が終わった。
　 横浜国際で行われたチェコ戦は、相手エースストライカーのクカがケガで不出場だったが、ポポルスキーを中心とした正確なパスワークで攻めてくるチェコに対し日本は大苦戦。パラグアイ戦同様に攻撃陣が機能せずゴールも遠く、結局はスコアレスドローに終わった。 岡田監督は「ＦＷの柱は城」と発言したものの、決定力不足は日本代表にとって大きな課題として残された。それでも後半20分過ぎに登場した 18歳の小野伸二の起用にメドが立ったことは収穫だった。
　 大会の優勝は、パラグアイ代表を破ったチェコ代表に輝いた。