大切な人のことを考えたら、少しでもサプリメントを飲みやすくしたい。たしかな技術と情熱で取り組む、錠剤づくりの裏側
キリン公式noteより(公開日2023年9月5日)
ふだん何気なく飲んでいるサプリメントですが、実は飲みやすくするためにさまざまな工夫が凝らされているのをご存知ですか?
例えば粉末の原料を錠剤の形に固める技術、飲みやすくコーティングする技術など、錠剤は長年の研究開発の末に辿り着いた技術力の結晶なのです。
そんな開発者の努力を目の当たりにして感銘を受けたのが、ヘルスサイエンス事業部の塚田彩子。
塚田は新商品のサプリメントである『iMUSE 免疫ケア・筋力サポート』の商品開発の際に、ヘルスサイエンス研究所で研究開発をしている神田祐竜の仕事を見て、その技術力の高さやモノづくりへの情熱に心を動かされたといいます。
そんなヘルスサイエンス研究所の拠点は「湘南ヘルスイノベーションパーク」。ここでは広大な敷地に建てられたラボに、製薬会社をはじめ次世代医療、細胞農業などさまざまな企業がテナントとして入り、新薬の研究や新商品の開発を行っています。ヘルスサイエンス研究所もここで日々健康食品やサプリメントの研究開発をしているのです。
そこで今回は、塚田がラボを訪問。サプリメントづくりの技術について神田に話を聞きました。
塚田:早速ですが、まずサプリメントの錠剤づくりで大切にしているポイントを教えてください。
神田:大切にしているのは、いかにサプリメントを飲むときのストレスを軽減できるかです。そのために重視しているのは二点。錠剤の数をなるべく減らすことと、飲みやすくすることです。
ですがこれがなかなか難しいんです。
塚田:毎日摂取するものだからこそ、ストレスが少ないとうれしいですよね。一緒に商品開発をした際に、飲みやすくするためには数々の工夫や苦労があると知りました。それらも今回ご紹介したいと思います。
それではまず、錠剤づくりの工程から教えていただけますか?
神田:はい。まず、サプリメントの元の姿は基本「粉」だと思ってください。そのため錠剤にするには、粉を固形にしなければなりません。錠剤づくりの工程は大きく分けて「造粒」「混合」「打錠」「コーティング」の4つです。
神田:「造粒」は、小さな粉末を熱風で乾燥させつつ霧化した微細な水を吹き付けることで、粉と粉をくっつけてより大きな粒(顆粒)にする工程です。そうすると平均0.3mmくらいの粒になります。そしてその後にビタミンなどの熱に弱い成分を加えます。これが「混合」です。
次に「打錠」とは、杵(きね)と臼(うす)と呼ばれる金型を使って圧縮成形する工程のことをいいます。ここでようやくいつも皆さんが見ているようなサプリメントの形ができあがります。
打錠の際に使用する杵と臼
塚田:『iMUSE 免疫ケア・筋力サポート』の機能性関与成分の一つであるHMBカルシウム(※)は、この打錠の工程が難しかったんですよね?
神田:そうでしたね。難しかった理由は大きく分けて二つあります。一つ目は、HMBカルシウムの特性によるもの。HMBカルシウムは先ほどお話した造粒が進みにくい(大きな顆粒になりにくい)んです。
そのため微粉が多く残り、打錠の際に微粉状のHMBカルシウムが杵にくっついてしまうんです。専門用語を使うと、こうした杵に粉が付着して錠剤表面に荒れや凹みが発生することを「スティッキング」といいます。
これが起きると錠剤の表面に荒れや凹みが発生したり、最悪の場合欠けてしまったりするんです。こうなってしまってはお客さまにきれいな形の錠剤を届けることができません。そこで解決策として、今回HMBカルシウムの造粒が促進されるように工夫を施しました。
(※)HMBカルシウムは、HMBとカルシウムを結合した健康素材。HMBは必須アミノ酸のロイシンを摂取することにより体内で作られ、メカニズムとして筋肉の合成促進と分解抑制の働きをする。HMBカルシウムは、運動との併用で、筋力の維持・低下抑制に役立つ。
打錠機を使用し、臼に充填された粉粒体を上杵・下杵により圧縮形成する
神田:二つ目の理由は、HMBカルシウムに限らずどのサプリメントにも言えることで、一粒あたりの成分を高含有にすると錠剤の形にするのが難しくなるんです。
今回の『iMUSE 免疫ケア・筋力サポート』では、HMBカルシウムの1日分の摂取量である1.5gを配合することを目指しました。ですがこの含有量だと、市場にある同様の製品は8〜10粒を摂らなければいけないものがほとんどなんです。けれど錠剤の数が多いほど飲みづらくなり、毎日続けるのが大変になってしまいますから、どうにかもっと少なくできないかと考えたのです。
塚田:でも粒を少なくすると、当然一粒あたりのHMBカルシウムの含有量を多くせざるを得ませんよね?つまり錠剤の形にするのが難しくなる。
神田:そうなんです。そもそも錠剤にするためには、例えば今回の商品であれば、機能性関与成分のHMBカルシウムとプラズマ乳酸菌のほかに、粉を固める成分を入れる必要があります。そのため機能性関与成分を高含有に配合すると、その分固める成分の割合を少なくしなければなりません。だから高含有にすればするほど固まりにくく、錠剤にするのが難しくなるんです。
一粒のサイズを大きくするという手もありますが、大きくなるほど飲み込みづらくなってしまいます。だからそれはしたくない。そこで今回も、私たちの特許技術(※)である高含有製剤技術を応用しました。
塚田:高含有製剤技術とは、機能を持つ成分を高含有量で含有する錠剤及びその製造方法のことですね。
神田:その通りです。我々はシジミなどに含まれるアミノ酸であるオルニチンを、高含有する特許技術を持っています。この技術を使った結果、HMBカルシウム1.5gだけではなくプラズマ乳酸菌1,000億個を配合したにも関わらず、通常8〜10粒になるところを6粒にすることに成功したんです。
(※)特許第5014115号
塚田:飲む人の視点でいえば粒の量は少ないほどうれしいはずです。けれど一方でつくり手の視点から見ると、粒を少なくするのは難しく、技術が試される点なのではないかと思います。
実は今回、試作段階で製剤化の難しさからあきらめそうになった場面もありましたね。そんな困難な状況でもあきらめず、一粒でも減らそうと努力した理由はなんだったのでしょうか?
神田:一番は、お客さまの健康を思ってのことです。錠剤の数を減らせば毎日飲み続けやすくなります。つまりお客さまが健康を意識した習慣を身に付けやすくなると思うんです。
試作段階では関係者に何度も無理だと思われましたが、お客さまのことを考えてこれだけはあきらめたくありませんでした。
塚田:神田さんをはじめ、ヘルスサイエンス研究所の揺るぎないこだわりがあってこその商品ですよね。
塚田:最後の工程は「コーティング」ですね!
神田:はい。コーティング前のHMBカルシウムを配合した錠剤は、大変臭いがきついんです。さらにえぐみや苦味を持っているので飲むのも一苦労。
そこで飲みやすくするためにトウモロコシたん白を使ってコーティングを施しています。表面がつるりとしたサプリメントを、皆さんも見たことがあると思います。あれはコーティングが施してある姿なんです。
塚田:コーティングすることで臭いや苦味を感じなくなるのですね。
神田:そうです。「臭いや苦味のマスキング」といいます。また、錠剤の粉立ちも抑えることができるので手に粉が付くこともありません。
塚田:先ほど話に出た機能を持つ成分を高含有にして粒を減らす技術も、コーティングの技術も、サプリメントを飲みやすくするための工夫ですね。ヘルスサイエンス研究所の日々の研究開発の成果が存分に生かされていると感じます。
神田:今回の製品に限らず、サプリメントづくりでは大変な作業が多いです。
そのため開発段階や製造現場などで困難に直面することは珍しくありません。そんなときは、自分自身を鼓舞する意味でも「たとえば家族でも恋人でも誰でもいい、自分の好きな人に自信を持って食べさせられますか?」と皆に訊いているんです。
そうすれば、「サプリメントを一粒でも減らしてあげたいな」「少しでも飲みやすくできないだろうか」「安心して食べてもらえるかな」と考えてくれるはずですから。
塚田:神田さんは商品開発の前は工場で製造を担当していたと聞きました。現場の方々とかなり密にコミュニケーションを取っているのも、その経験があるからこその行動ですか?
神田:そうかもしれません。現場の苦労も気持ちもわかるからこそ、企画だけ持っていって終わりにはしたくありません。
僕はつくったものには、つくり手の気持ちが宿ると思っています。それはお客さまにも伝わります。だから現場を大切にしたい。少しでも製造工場の皆さんと密なやりとりができるように、試作が始まったらずっと工場の製造ラインに立ち会うようにしているんです。
それに、一番問題が出てくるのはサプリメントを量産する試作段階に入ってからなんです。ラボ試作の段階では5kgだった粉が工場では100kgになるなど、扱う材料の桁が変わります。そうなるとラボスケールでは起きなかった事象やトラブルが発生する。だから現場の方々と一緒に、一つひとつ課題を解決していかなければなりません。
あとは何より、自分が関わった商品の品質を最後までしっかりと見届けたいという気持ちもありますね。できあがったサプリメントが理想通りなのか、欠けや荒れ、凹みがないのかなど、現場で目視するときもあるんですよ。
塚田:初めて神田さんと対面で打ち合わせしたとき、開発者とは思えないほどフランクで話しやすい方だなと思ったんです。技術も経験値もある、いわば職人のような存在だと思っていたので驚きました。その理由は、日頃から一緒に商品開発をする仲間たちと、よりよい商品をつくるために、とことんコミュニケーションを取っているからかもしれませんね。
※生活習慣は規則正しく、バランスの良い食事、十分な睡眠と適度な運動が基本です。
※『iMUSE 免疫ケア・筋力サポート』に含まれるHMBカルシウムは、筋肉の維持に働きかけ、運動との併用で、自立した日常生活を送る上で必要な筋力の維持・低下抑制に役立つ機能が報告されています。
塚田:今回神田さんとともに開発したのが、プラズマ乳酸菌の「免疫ケア」に着目した商品『iMUSE 免疫ケア・筋力サポート』です。キリンといえばビールというイメージが強い方も多いかもしれませんが、実は35年も前から免疫の研究を重ね、そして見つけ出したのが「プラズマ乳酸菌」なんです。
神田:今回の新商品もプラズマ乳酸菌を1,000億個配合。さらに、免疫をケアするという「iMUSE」のコンセプトはそのままに、HMBカルシウムを1.5g配合し、「筋力サポート」という機能をプラスしました。
塚田:『iMUSE 免疫ケア・筋力サポート』が誕生したきっかけは、外出の自粛生活による運動習慣が変化するなか、筋力の維持に注目が集まっていたからです。同時期、免疫に対する関心も非常に高まっていたこともあり、多くの方がキリンの独自素材である「プラズマ乳酸菌」による免疫ケアに興味を持ってくれたんです。
そこで、プラズマ乳酸菌の免疫ケアに加えて「iMUSE」がもっとお客さまの健康に貢献できることはなんだろうか、と考えたんです。
実際にお客さまにアンケートをとってみたところ、「外出自粛で運動習慣が変化したことにより、筋力に自信がなくなってしまった」という悩みが多く浮かび上がりました。
さらに私が課題に感じたのは、外出自粛などの制限が解除された後に、階段の上り降りなどをつらく感じたり、体力がなくなっている現実を目の当たりにしてショックを受け、運動習慣の取り戻し方に悩んでいる方々がとても多かったことでした。
神田:免疫の維持、健康のためにも日々の運動はとても大切です。そこで、運動と併せて筋力の維持や低下抑制にも役立つ提案ができないかと思いました。そんな背景から、プラズマ乳酸菌で免疫ケアをしつつ、さらに筋力をサポートしてくれるHMBカルシウムを1.5g配合した『iMUSE 免疫ケア・筋力サポート』が生まれたんです。
神田:平均寿命が伸びていることは、皆さんご承知の通りだと思います。けれど平均寿命と健康寿命を比べると、健康寿命の方が10年近く短いということはご存知でしょうか。
健康寿命とは、医療や介護に依存することなく、自立した生活ができる生存期間のことです。つまり旅行に行ったり趣味をしたりと元気に生活するためには、この健康寿命を伸ばす必要があるんです。
塚田:私たちヘルスサイエンス事業は「人生100年時代の健幸ライフスタイルパートナー」になるというビジョンを掲げています。これは人間が本来持っている力を高めることで、性別や年齢などに関係なく、全ての人が健康であり続けること、そして健康を土台に豊かな生活を送れることを願って掲げられた目標です。
特に今回の『iMUSE 免疫ケア・筋力サポート』は、運動との併用で筋力の維持や低下抑制をサポートするもので、高齢の方にも摂っていただきたい商品。だからこそ、より飲みやすいものをご提供したかったんです。
この商品を通して皆さんの健康を応援することで、生き生きとした人生を送る方が増えたらうれしいですね。
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