人から人へ、輪を広げて5周年。moogy新デザインの誕生秘話【#moogyの季節の便り ~春編~】

キリン公式noteより(公開日2021年3月16日)

#moogyの季節の便り

3人の女性の「やってみたい」から生まれて、早5年。「冷える生活環境で過ごす女性の味方」を掲げる健康ブレンド麦茶の『moogy』は、今年も季節の新しいデザインを装って、皆さまのお手元に届きます。

麦茶をベースに、ぬくもり素材の生姜と、黒豆をブレンド。さらに、ハーブの香りを加えた香ばしくすっきりとした飲みくち。そして何よりの特徴は、春夏秋冬で4種の缶のデザインが変わること。コンビニや自販機で目立つ「おしゃべりなパッケージ」ではなく、インターネット限定で買えるからこそ、「暮らしに馴染んで、日々の生活が楽しくなる、ちょっと幸せなデザイン」をまといたい──。

シーズンごとのパッケージは、キリンビバレッジ社員のデザイナーが、いちから手作り。毎日の暮らしの端々から着想を得て、水彩で描いたり、消しゴムハンコを使ったり。今春のデザインは「しあわせシリーズ」と名付けられました。

このデザインは、どうやって生まれたのでしょうか。そして、他のブランドと比べてCMや宣伝を大きく打っている商品ではないけれど、『moogy』が今日まで続いてきた理由は、どこにあるのでしょうか。

遠藤楓と寺島愛子、嶺岸秀匡に話を聞き、誕生から5年を経てなお、“人から人へ”伝わりながらファンを増やしてきた『moogy』の制作現場を振り返ります。

左から遠藤楓、嶺岸秀匡、寺島愛子

【プロフィール】寺島愛子

キリンビバレッジ株式会社 マーケティング部ブランド担当 兼 デザイナー。2005年入社。『moogy』、『午後の紅茶』などの商品開発やブランド戦略を担当。

【プロフィール】遠藤楓

キリンビバレッジ株式会社 マーケティング部ブランド担当 兼 デザイナー。2009年入社。『moogy』、『iMUSE』などの健康系の新商品開発やブランド戦略を担当。

【プロフィール】嶺岸秀匡

キリンビバレッジ株式会社 マーケティング部ブランド担当。2011年入社。スーパーの個店営業や法人営業を経験後、2016年秋にマーケティングを担当。『moogy』、『生茶』などの商品開発やブランド戦略を担当。

「自分たちが本当に欲しいものを作ろう」

―皆さんは『moogy』の制作にどのように携わっていますか?

遠藤:私たちは他のブランドも担当していて、『moogy』は兼務なんです。私は『iMUSE』、寺島は『午後の紅茶』、嶺岸は『生茶』ですね。『moogy』では、デザインを私と寺島が毎シーズン作っています。

嶺岸:僕は『世界のKitchenから』を以前担当していて、そこで寺島と一緒だったんです。量販店や法人のお客さまに向けた営業畑を歩いてきた強みを生かして、『moogy』というブランドをもっと強く、そして長く続けていけるように努力しています。

寺島:以前は水上という女性デザイナーもいて、遠藤と私の3人で作っていました。水上が抜けることになったタイミングで、嶺岸なら『moogy』の柔らかい雰囲気に合うんじゃないかなって、私たちからラブコールをかけましたね(笑)。

遠藤:もし、『moogy』が1年や2年で終売する商品なら、私たちだけでもよかったかもしれないです。でも、ファンの皆さまに支えられて、『moogy』はブランドして今年も続けさせてもらえることになって。それなら、よりお客様との接点を作っていくための知見をプラスオンできたら、『moogy』というブランドがさらに良くなるんじゃないかなって思ったんです。

―誕生して5年ですが、立ち上げはどういった経緯だったのでしょうか。

寺島:2015年に通販サイトの『LOHACO』さんから、「東京デザインウィークに出展するブースに商品を出してくれませんか」とお声がけいただいたんです。「暮らしになじむ」というテーマが与えられていて、当時の社長が「この企画、やりたい人はいない?」とデザイナーチームに話をもってきてくれたところに、私たちがやりたいと手を挙げました。

遠藤:それで、先ほど出てきた水上と、寺島と私という3人チームができました。とはいえ、決まっているのは「暮らしになじむ」というテーマと「通販で売ること」だけ。だから、まずはコンセプト決めから行いました。

―どんなコンセプトに決めたのですか?

寺島:想像やヒアリングをする過程で、『LOHACO』のユーザーさんと、私たちの年代がちょうど合致していたことがわかったんです。それなら、「自分たちが本当に欲しいものを作ろう」と。

『LOHACO』を使う方は仕事や家事も、子育てもあるし、日中がとても忙しくて、ようやく一息つけるのが夜の10時。その時間に、自分の好きなものを買うのが幸せな時間。そんなときに気分を上げるようなパッケージで、一番のお困りごとである「冷え」を解決できる飲み物なら嬉しいなぁ、といった流れでブレストして切り口を作りました。

遠藤:それで社長プレゼンに通ったのが「飲む生活雑貨」的な感覚で作る、今の『moogy』のかたちですね。当時は2015年でInstagramが一般的になり始めた頃で、「こんなふうにインスタへ投稿される商品になりたい」というコンセプトイメージも盛り込んでいました。

寺島:他にも「置くとフラワーベースに見える」デザインとか、文字が少なめの暮らしに馴染む案を出しました。私たちも日々の忙しい毎日を過ごす中で、手の届くところに、ささやかな癒やしが欲しかったんだと思います。「かばんに入れる時のうきうき感」があったらいいよね、とか。実は、どのアイデアも、店頭に置く商品では難しいものなんですよね。

当時のプレゼン資料や過去のデザインまで蓄積されている『moogy』大切な書類たち

―店頭に置く商品ではできないこととは、どんなことなのでしょうか?

遠藤:「商品は見て2秒で選ばれる」と言われるほどに、競合他社より目立ったり、セールスポイントになる機能が伝わったりと、どうしても“おしゃべり”なデザインを考えるのが一般的です。

でも、『moogy』はネット通販だけで、ページを見ながらゆっくり選べますから、「机に置いて気分が上がる」といった要素を大切にした、最小限の商品情報を持つデザインにできました。実は、最初は「社外の著名なクリエイターとのコラボレーション」という前提で、社長プレゼンでも伝えていたのですが…。社長が「ここまでイメージができているなら、自分たちでやってみれば?」と背中を押してくれました。

―『moogy』といえば、毎シーズン4種類のデザインが刷新されるのも特徴ですよね。

遠藤:そうですね。たとえば、天気が悪いときに「今日は雨かぁ…」と落ち込むよりは、「お気に入りの傘を持っていける日」と思えば、自分の気持ちに左右されず、自分なりにポジティブに楽しめます。私も寺島も、とても好きなオーダーメイドの傘屋さんがあるくらい。

寺島:同じように「今日はこのスカートだから」「このハンカチを持っていこう」と、楽しくセルフコントロールができると、日々の暮らしも良くなっていく。暮らしが良いと、自分自身も良くなっていく。そういう好循環で回るのが『moogy』の本質であり、そこから「いいわたし、いい暮らし。」というコンセプトができました。

遠藤:4種類の柄のある『moogy』も、そんなふうに気持ちを整えるアイテムのひとつに入ってほしくて。毎日、消費されるような清涼飲料水だって、そういうふうになれるんだぞ〜!と示したかったというか(笑)。

新パッケージの選定は、ファンが喜ぶ顔を想像しながら決めていく

―今春の新パッケージもできあがりましたが、デザインのアイデアはどんなところから着想を得ているのでしょうか?

遠藤:毎回、私と寺島でたくさんのデザイン案を持ち寄ります。でも、シーズンで出せるのは4つまでだから、「このデザインは来年に生かしてみようか」なんて話をすることもありますね。

寺島:基本は『moogy』のために描くというよりは、日常的に思いついたものを描き留めておきます。

遠藤:私はアイデアやモチーフが「ハッ!」と浮かんだら、すぐにiPhoneへメモ。

寺島:趣味で消しゴムはんこを彫って、年賀状を刷っているんですけど、「今回の柄はスタンプにしたほうがもっとかわいい!」みたいに手法を変えることもよくあります。

遠藤:落書き帳にぺろぺろって描いてあったイラストを組み合わせてみたり(笑)。だから、それほど気張ってはいないですよね?

寺島:うん、私も。シーズン案を作って持ち寄るんですけど、いつも机に乗り切らなくて、どんどん床に置いていく。部屋一面を埋め尽くした状態で「…どうしよっか?」みたいな感じで(笑)。

遠藤:6畳くらいの部屋がいっぱいになりますよ。まずは自分が推したいデザインを伝えて、そこからはふたりで投票しています。

寺島:数が多いのは、もちろん色違いなどもあるからなんですけど、4つに絞ったときのバランスが本当に悩ましくて。「この並びならファンの方たちが喜んでくれるかな?」と想像しながら選んでいきます。

遠藤:花柄モチーフは、ファンの方たちも、私たちも好きなので、採用率が高め。皆さん自分の好きな柄をインスタにアップしてくれたりするので、投稿を見ていると「あ、今回のシーズンは、この柄が人気だったんだなぁ」とわかります。

寺島:花柄が好きなのは、私たちとファンの方が住んでいる場所や、見てきている風景が近いからなのかもしれないです。緑がいっぱいのふるさとで育ったりとか、植物図鑑を眺めるのが好きだったりとか。だから、自然とそういうモチーフを好んできたのかも。

嶺岸:柄を絞るのと並行して、4つのデザインを並べたときの「テーマ」を決めます。ここからは僕も参加して、何か共通するような言葉があるはずだと見つけていく。2020年は「はなうた」「のあそび」「おくろう」「いろづき」というシリーズ名を冠してきました。

遠藤:ちょっとはなうたでも歌っちゃうような感じの「ひらがな4文字」を組み合わせたシリーズ名を必ずつけているんです。

[はなうたシリーズ]ハッピーサンド おきにいりBOX こがねいろの波 幸せの音色 ※このコレクションの製造は終了しています。[のあそびシリーズ]遠くへいきたい Sing a song 夏山ハイク 楽しい雨の日♪ ※このコレクションの製造は終了しています。[いろづきシリーズ]お気に入りのスカート おだやかな休日 夕暮れカーテン いろどりの道 ※このコレクションの製造は終了しています。[おくろうシリーズ]よろこんでくれるかな しあわせクルクル 伝えて チョコっとおすそわけ ※このコレクションの製造は終了しています。

寺島:それぞれの柄にも名前をつけているんですが、みんなでアイデアを出して、デザイナーは候補からの決定権だけ持っているんです(笑)。

遠藤:自分ひとりでデザインから名付けまでするとイメージが凝り固まってしまうと思っていて。もっと自由に発想できるように、みんなでアイデアを持ち寄るようにしています。

今春のパッケージは「しあわせシリーズ」

今春のパッケージ。左から、「ぽかぽか陽気」「しあわせ詰めて」「ゆる〜くいこう」「のばな散歩」

遠藤:今春のパッケージは「しあわせシリーズ」という名前の通りに、幸せ感が出るように。やっぱり、春は幸せな気持ちになりやすいなって思うんです。デザインの名前も、「しあわせ詰めて」「ぽかぽか陽気」というワードチョイスで統一しています。

水彩画で描いた「ぽかぽか陽気」は、心も体も気持ちがいい春の陽気を想像の黄色い草花で表しています。「しあわせ詰めて」はさくらんぼ柄。寺島お得意のハンコを使っています。ピンク色の「ゆる〜くいこう」は、花が風にゆらゆらと揺れているのを眺めながら、忙しない日常の中でも「ゆる〜い時間を持とう」というメッセージ。最後の「のばな散歩」は色鉛筆で描きました。道端に頑張って咲いている野花を見ると元気になりますよね。

―どれも私たちの身近にあるけれど、忙しいと見落としてしまいそうな「しあわせ」ですね。moogyを手に取ると、そういう春の「しあわせ」に気づくことができそうです。

寺島:そうそう、2020年の春くらいから、デザインの決め方も変わってきました。昔はクリスマスツリーをあしらったようなものなど、季節を象徴するような具体的なモチーフもあったのですが、今は四季でパッケージは変われど、「どのタイミングで持っていても、暮らしになじむ」ようにしようと。

『moogy』は賞味期限も1年半近くと長いので、たとえばお気に入りの冬デザインのものを、春に飲んでいただいても大丈夫。そういう選び方でも違和感がなく、長く楽しんでもらえるように考えているんですね。

ファンからファンへ、人から人へ

―『moogy』は飲料ブランドとして5周年を向かえましたね。

嶺岸:それほど長く続くだけでもすごいほうです。ましてや『moogy』なんて、宣伝的なコミュニケーションをあまりしていませんから、なおのこと珍しいです。

遠藤:根強いファンがいらっしゃることや、いろんな業界から『moogy』のデザインコンセプトが評価されたことで、独自性のあるブランドであると社内外に浸透してきているのが大きいのだと思います。

嶺岸:実際、2019年、2020年とユーザーインタビューの一貫として、「みんなで『moogy』のことをわいわい楽しく語り合おうよ」というコンセプトでトークをしたんです。おひとりずつ話を聞くと、自分たちが思い描いた『moogy』の楽しみ方を、自然とお客さまが感じ取ってくれていて、『moogy』が暮らしに馴染んでいる様子が見えましたね。

寺島:中には、『moogy』を使って料理しました!とか。美味しいんですよ、炊き込みご飯に使うと、いい風味になるんです。

遠藤:年齢層も幅広くて、中には50代、60代の方もいらっしゃって。むしろ、そういった年代の方からの好感がとても大きかったり。

寺島:トークイベントをしたら、皆さん初めましてなのに、最後はファン同士がすっごく仲良くなって帰るみたいな。年代はバラバラなのに、好きなものが同じだったり、価値観が近い人たちが集まっていたりするのが、とても面白いです。

嶺岸:今はほとんどのコミュニケーションがSNSで、中でもInstagramが中心です。そこで『moogy』というブランドを知ってもらうことが多くて。お客さまがアンバサダーのように、投稿で広めてくださっているんですね。

寺島:とくに飲み物は大量生産品で、「作っている人」を感じられないものにとどまってしまうかなと思うんです。でも、『moogy』はそれを超えて、「作家物のブローチや小物とかを持っている感覚に近い」とファンの方がおっしゃってくれて。とても嬉しかったです。

人柄を感じてもらえるような商品にしたい。だから、SNSではさらに身近に感じてもらえるように、『moogy』チームで自ら写真を撮って、それぞれが文章を書くようなスタイルを続けてきました。

嶺岸:今後はその動きも後押しをしながら、価値観や想いが近しい他の企業やブランドともSNS上でコラボしていきたいです。昨年は マスキングテープブランド『KITTA』とのコラボ企画を実施できました。

『moogy』って、やっぱり「好きな人にこの良さを感じ取ってもらいたい」と思わせる商品なんです。実は贈り物需要も多くて、結婚式のプチギフトに使われることが多いんです。僕も街を歩いていたら、結婚式の2次会帰りの人が『moogy』を持っているのを見て、テンションが上がったことがあります(笑)。

これからも、ファンからファンへ、人から人へ、伝えて広がっていくような働きかけをしていきたいですね。

moogy ブランドサイトはこちら

文:長谷川賢人新しいウインドウで開きます
写真:忠地七緒新しいウインドウで開きます
表紙文字デザイン:もなみん新しいウインドウで開きます

「キリン moogy」 ブランドサイト

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